悩んでいる子ねこ車中泊やキャンピングカーの電源選びに迷っています。
ポータブル電源」にするか、自分で組む「サブバッテリーシステム」にするか?
ねこ先生結論から言うと、バッテリー容量あたりのコスト(コスパ)だけで見れば、DIYサブバッテリーシステムはポータブル電源の約「半額」で構築可能です。
この記事では、比較しづらいバッテリー容量の単位を統一して徹底比較し、それぞれのメリット・デメリット、そして具体的な費用の内訳をご紹介します。
結論:トータルコストの差は歴然!
100Ah(アンペアアワー)クラスの電源を確保しようとした場合、これだけの価格差が出ました。
| 項目 | 容量 (Ah) | 参考価格 (円) |
| Jackery ポータブル電源 | 89Wh | 119,800円 |
| DIY サブバッテリーシステム一式 | 100Ah | 58,629円 |
| 差額 | 約 6.1万円 お得! |
DIY サブバッテリーシステム一式=走行充電器14,151円+ MPPTチャージコントローラー11,197円+M31MFバッテリー20,982円+インバーター+ヒューズBOX2,299円+配線ケーブル等部材10,000円
※価格は検証時(2025年12月)のAmazon価格を参考にしたものです。
DIYシステムなら、100Ahの大容量を確保しても、ポータブル電源(89Ah)の約半額で済む計算になります。 では、なぜここまで差が出るのか? そして、なぜ比較が難しいのかを解説します。
セール中はポータブル電源が破格になる逆転現象も
Jackery 1000 Newは、現在Amazon表示価格では119,800円(2025年12月Amazon調べ)だったが、プロモーション情報 注文確定時に48%割引で¥62,296だった。この価格ならこの記事を読むまでもなくポータブル電源の方がコスパ良いです。
なぜ比較しづらい?「Ah」と「Wh」や「基準電圧」の罠
バッテリーのカタログを見ると、「mAh」や「Ah」といった単位が並んでいて混乱しませんか?
実は、ポータブル電源と鉛バッテリーでは、電圧の基準が違うため、単純に「Ah(電流)」の数字だけを比べても意味がありません。
そこで、「Wh(電力量)」=実際に使えるエネルギー量 の換算や基準電圧を統一比較する必要があります。
計算式:Wh = Ah × 電圧 (V)
- ポータブル電源: 内部電池が何V基準で計算されているか確認。
- サブバッテリー: 12V基準。
例えば、「Jackery ポータブル電源 1000 New」の場合:35.2V基準で計算されている。
定格容量は「30.4Ah/35.2VDC(1070Wh)」ですので、これを12Vバッテリーと比較するために換算すると、約89Ah相当になります。
このように基準を揃えることで、初めて正しいコスパ比較が可能になります。
【基準電圧統一】コスパ比較表
ポータブル電源の基準電圧を12Vに 統一して、「1Ahあたりいくらか(単価)」を比較すると以下のようになります。
| バッテリー種類 | 商品名 | 容量 (Ah) | 1Ahあたりの単価 |
| ポータブル電源 | Jackery 1000 New | 89 | 約600円 |
| サブバッテリー | ACDelco M31MF | 100 | 約210円 |
| サブバッテリー | LiTime (リチウム) 100Ah | 100 | 約300円 |
※上記はバッテリー単体の比較です。
バッテリー単体で見ると、ACDelcoのディープサイクルバッテリー(鉛)が圧倒的に高コスパです。ただし、ポータブル電源には「充電器・インバーター・コントローラー」が全て内蔵されているため、単価が高いのは当然でもあります。
どちらを選ぶべき? あなたに合うスタイルはこれ
価格差の理由は「手間」と「一体化」です。それぞれの特徴から選びましょう。
【ポータブル電源】がお勧めな人
- 手間をかけたくない人
- 配線知識に自信がない人
- 車外(キャンプ場や防災用)でも持ち運びたい人
メリット:
コンセントやソーラーにつなぐだけで充電でき、家電も差すだけで使えます。オールインワンの便利さは最強です。
注意点:
- 価格が高い: DIYの約2倍のコストがかかります。
- 寿命: 内蔵リチウムイオン電池の寿命(サイクル数)が来たら、本体ごと買い替えになるケースが多いです。
- 出力波形: 家電を使うなら必ず「純正弦波」のものを選びましょう。

【DIYサブバッテリーシステム】がお勧めな人
- とにかく安く済ませたい人
- 自分好みにカスタマイズしたい人
- メンテナンスしながら長く使いたい人
メリット:
「走行充電器」「バッテリー」「インバーター」が独立しているため、バッテリーが劣化したらバッテリーだけ交換すれば良く、ランニングコストが安いです。また、容量不足を感じたらバッテリーを追加接続(並列)して増強も可能です。
注意点:
- 知識が必要: 配線や電気の基礎知識が必要です。
- 設置の手間: 車内への固定や配線作業が必要です。

DIY派必見! 半額で組むための構成パーツ
DIYでシステムを組む場合、以下のパーツが必要になります。これらを揃えても、ポータブル電源の約半額です。
走行充電器 + MPPTチャージコントローラー
おすすめ:Renogy DCC 走行充電器
Bluetooth対応機種であれば、BT-2モジュールと組み合わせて使用することで、DC Homeアプリを通じて充電パラメータをスマートに管理できます。最大365日分のデータを記録し、充電システムの状態をリアルタイムで把握できます。
サブバッテリー
コスパ重視: ACDelco ディープサイクルバッテリー(M31MFなど)。ガス抜きホースの設置をお忘れなく。
性能重視: リン酸鉄リチウムイオンバッテリー(LiTimeなど)。軽くて寿命が長く、最近は価格も下がってきています。
インバーター
バッテリーの12Vを家庭用100Vに変換します。「正弦波」を選びましょう。
重要: ケーブルの太さ(sq)に注意! 1000W級の家電(電子レンジやクーラー)を使うなら、付属のケーブルではなく 22sq以上、できれば38sqの極太ケーブルが必要です。細いと電圧降下で電源が落ちます。
ヒューズBOX・配線部材
安全のために必須です。
まとめ
- 手軽さと携帯性をとるなら 「ポータブル電源」
- 圧倒的なコスパと拡張性をとるなら 「DIYサブバッテリー」
費用差は約半分。DIYには勉強が必要ですが、浮いた予算でFFヒーターや冷蔵庫などの快適装備を揃えられるのは大きな魅力です。
ご自身のスタイルに合わせて、ベストな電源を選んでみてください!
付録:用語と計算
5時間率容量
5時間率容量とは、満充電した蓄電池が25±2 ℃のとき、5時間率電流で終止電圧10.5 Vまで供給可能な電気量 です。例えば36Ahのバッテリーは、7.2Aの電流を5時間流すことができるということです。
ポータブル電源の容量表示は、12Vバッテリーの容量AHと単純に比較してはいけない
例)Jackery ポータブル電源 1000は、カタログスペック定格容量30.4Ah/35.2VDC(1070Wh)だが
公式
Wh=Ah×電圧
1AH=1000mAh
1070WH =30.4AH × 35.2V
公式で計算すると、35・2Vで計算されている。
12Vで計算すると
1070WH / 12V=89Ah
12Vバッテリーと比較するなら89AHとなります。
Wh換算は単純に5時間率容量(Ah)に、12Vを掛けているが、実際は容量が減っていくと電圧が下がっていくので厳密に言うと正確ではない。
sq(スケア)
sq(スケア) とは日本の電線規格で、数字が大きいほど大きな電流を流すことができます。ちなみに、アメリカの電線規格は、AWGで、数字が小さくなるほど大きな電流を流すことができます。
「22 sq ケーブル」=単線だと断面積が22㎟のケーブル 。
例) 市販のケーブルにはないですが、単線で直径2mmの導線を SQ(スケア) で表すと、
1mm×1mm×3.14=3.14 SQ(スケア) となります。

写真のWCTケーブルの仕様は、 導体断面積22 sq 許容電流値 120A(30℃)ですので、サブバッテリーとインバーターをつなぐケーブルに使用すると1440W(12V×120A)までOKです。ちなみに部材はホームセンターで手に入ります。
22 sqケーブルですと1200W(100V×12A)のドライヤーを使用するとギリギリですので、バッテリー容量が減りバッテリーの電圧が下がってくると流れる電流も大きくなることを考えると38sq許容電流値 170A(30℃)のケーブルを使用する必要があります。
電子レンジは700W程度なのでOKです。
補足ですが1200Wのドライヤを使用するには、100Vでは12Aの電流を流せる2sq ケーブルでOKですが、12Vだと100Aの電流を流す必要がありますので、 22 sq 以上の太いケーブルが必要になります。
ケーブルは使用電流のワンサイズ上の太さを選ぶと安心です。

