カロッツェリア DEH-970は、ハイエンドカーオーディオ入門機だから物足りないかな?
「DEH-970」のDSP(オートタイムアライメント&オートイコライザー)機能は使えるので、能力の低い内蔵アンプを、小型デジタルアンプで補うとあなどれない音質に生まれ変わりますよ!
最近のカーオーディオでは、良い音で聞きたいならDSP機能を外すことができません。
DSPとは、理想的な音場を作るのが極めて難しい車室内で、ホームオーディオのような感動する音場をつくることができる革命的な機能です。
今回は、DSP機能付きでハイエンドカーオーディオ入門機としてコスパが良いメインユニット「カロッツェリア DEH-970」のデメリットを小型デジタルアンプで補い、2.1chを組んでいきます。
また、DEH-970のデメリットである古いBluetoothのコーデックと能力の低い内蔵D/Aコンバーターを、外部DACで補い、ハイレゾ音源とまでは行きませんが、かなり劣化の少ないBluetoothでの音楽再生をする方法を簡単に紹介します。
カロッツェリア「DEH-970」デメリット、メリット
デメリット
- DEH-970のBluetoothコーデックは、古いSBCなので標準音質。
- 内蔵D/Aコンバーターの能力が低い。
- 内蔵アンプの能力が低い。
メリット
- DSP機能(オートタイムアライメント&オートイコライザー)は使える。
- メインコントローラとしてボリュームなどは悪くない。
- RAC入力が付いているので、能力の高いD/Aコンバーター搭載のDACを接続できる。(最近は安価で能力の高い中華DACがAmazonで手に入ります)
- 内蔵アンプオフ機能があるので、能力の低い内蔵アンプを介さずに、能力の高い外部アンプで信号を増幅させてスピーカーに送る事ができる。
と言うことは、デメリットは工夫次第で音質をあげられそうですので、ハイエンドカーオーディオ入門機と言えど、あなどれないかもしれません。
メインユニット carrozzeria DEH-970
DEH-970は、2012年7月に発売された息の長い名機です。最近では、音質や広い設定範囲にこだわったハイエンドカーオーディオ入門機は、DEH-P01とDEH-970しかなく今や貴重な存在です。
この2機種の最大の売りは、オートタイムアライメント&オートイコライザーです。
「DEH-970」のオートタイムアライメント&オートイコライザーとは、複雑な形状に加えウィンドウガラスやシート材など様々な素材による音の反射や吸収、スピーカーの特性や取付位置の違いによって周波数特性が乱れ、理想的な音場を作るのは極めて難しい空間である車室内を、「DEH-970」は付属の音響特性測定用マイクを使って、それぞれのクルマで異なる音響特性を綿密に測定し、高度な制御技術により音像定位や位相ズレ・音質調整を自動で行うことが可能です。全399ステップにもおよぶ測定と調整からなるプロセスをわずか6分30秒で全て自動調整し、そのクルマにおいて理想的な音場を創り上げます。
「DEH-970」の価格は、DEH-P01の1/3ですが、オートタイムアライメントと内臓アンプオフ機能があるので、1DINではノイズや出力面から、どうしても不利になるアンプ部の働きをまるっきり別ユニットに委ねる事ができ、良い音にこだわったシステムを組むことができます。
また、DEH-P01にはBluetooth接続機能が付いておりませんが、DEH-970はスマホや音楽プレーヤーとBluetooth接続可能で、とにかく気軽に高音質が楽しめる点がオススメです。残念ながらBluetoothは、ハイレゾコーデックLDACに対応しておりません。しかし、ハイレゾ対応スマホアプリでハイレゾ音源再生すれば、そんなに悪くありません。
※「DEH-970」ですがアメリカでは「DEH-80PRS」が同機種のようです。海外pioneerサイトでは日本では公表されていない各種VerUpデータが手に入るかもしれません。
Bluetooth接続にこだわるなら
Bluetooth接続は、気軽に接続できて、接続ケーブルがなくて見た目もすっきり、コーデックにこだわれば音もそんなに悪くないんです。
「DEH-970」のBluetoothコーデックは、古いSBCコーデックですので、さすがにそれではと言う方は、「aptX HD 24bit」コーデックなら、CD音源並みの再生ができますので十分だと思います。ハイレゾ再生ができるコーデック「LDAC」にこだわるより、歪み率・ノイズの少ないDAC機器を選択した方が良いこともあります。
Bluetoothでも、「aptX HD 24bit」コーデック以上でBluetooth送受信、歪み率・ノイズの少ない、性能の良いD/Aコンバーター(デジタル信号をアナログ信号に変換)を搭載しているDAC機器を、ステレオミニプラグやRCAケーブルで「DEH-970」の入力端子へ接続すれば、かなり劣化の少ない再生が可能になります。
オススメは以下の機種です。
TOPPING D50S
スマホなどでハイレゾ音源をBluetoothで飛ばし、LDAC対応かつ性能の良いD/Aコンバーター「ESS SABRE」社の「ES9038Q2M」×2基を積んだDAC。
LOXJIE D40
ESS社のDAC「ES9068AS」×2基を搭載し、歪率を0.00008%(-122dB)までに低くした、最高品質レベルのDAC。
デジタルパワーアンプ carrozzeria GM-D8400の設定
メインユニットとメーカーを合わせることでゲイン調整が楽になることもあり、カロッツェリアGM-D8400を選びました。ちなみにハイレゾ音源再生対応です。
デジタルアンプはアナログアンプよりノイズが多いと思われがちですが、最近のデジタルアンプのスイッチング電源は低ノイズ設計です。
ふんだんに使用できる家庭用の100V電源とは違い、制約のある車の12Vバッテリーやオルタネーター(ダイナモ)のことを考えると、アナログアンプより消費電力の低いデジタルアンプが最適です。
カットオフ周波数コントロール
- トゥイーター+ミッドレンジスピーカー(スコーカー):パワーアンプCHANNEL A
- サブウーファー:CHANNEL B
ドアスピーカーから出る低音とダブらないよう80〜100Hzの低めに設定します。当初60Hzに設定していたのですがボリュームを上げるとドアスピーカ付近で共振が発生したので、80Hzに設定(80Hzより高い音をカット)
LPF(重低音)/HPF(低音域~高音域)スイッチ
- トゥイーター+ミッドレンジスピーカー(スコーカー):パワーアンプCHANNEL A
HPF(ハイ・パス・フィルター)とは、設定周波数より上の高音域の音を通すフィルター。 - サブウーファー:CHANNEL B
LPF(ロー・パス・フィルター)とは、設定周波数より下の低音域の音を通すフィルター
チャンネル切替スイッチ
- 2CH:入力Aだけ使用。2CH(ステレオ・モノラル)で使用する時。
- 4CH:入力A・B両方使用。4CH・3CHで使用する時。
今回は、デジタルアンプを3CHで使用して、その内1CHをサブウーファー、2CHをフロント左右に使用します。
フロント左右は、それぞれ1つづつクロスオーバーフィルターでトゥイーターとミッドレンジスピーカー(スコーカー)に分波して3way接続とします。
3wayとは、低音用のウーファーと中音用のスコーカー、高音用のトゥイーターの3つのユニットから構成されるオーディオシステムです。他に、ミッドバス+小型フルレンジ+トゥイーターという構成もあります。今回の構成は前者です。
取り付けた車の詳細は、エンジンオイル交換記事の前半で紹介しております→E25キャラバンOEMの「いすゞコモ」2400ccハイルーフ平成14年式(2002年)エンジン:KA24(DE)
トゥイーター+ミッドレンジスピーカー KICKER 43CSS674
メーカーにこだわりる必要はありませんが、コアキシャルタイプではなくセパレートスピーカーで周波数ごとに得意なコーンサイズから音を出してあげることです。コーンサイズが大きくなるほど低音を出せます。
- トゥイーター(2~4cm)
- ミッドレンジスピーカー(16~17cm)
- サブウーファー(25~30cm)
セパレートスピーカーのメリットは、高音の出る位置をリスニングポイントに「近い距離」「近い高さ」から出せます。また、トゥイーターは小さいのでリスニングポイントに向けて設置することが容易です。
なぜ、高音をリスニングポイントに「近い距離」「近い高さ」から出す必要があるのかと言うと、高音は聞こえやすく、出ている場所を認識しやすいのに対して、低音になるほど聞こえにくく、出ている場所を認識できなくなっていきます。
また、低音になるほど、リスニングポジションから遠くても高音の近くから出ているように聞こえます。
セパレートスピーカーのメリットを踏まえて、UP GARAGEのインターネットサイトで「KICKER 43CSS674」新品が12,000円程と、お手頃だったので購入しました。
「KICKER 43CSS674」セット内容
- トゥイーター20㎜
- ミッドレンジスピーカー165㎜
- クロスオーバーフィルター(クロスオーバー:12dB/high/low pass4000Hz)
- スピーカーケーブル
「KICKER 43CSS674」は、ドーム素材がチタニウムなので耐久性に優れるが、アルミニウムより薄く作ることが難しいため、アルミニウムより比重が重くなるチタニウム素材は、理論上トゥイーター素材としてはアルミニウムに劣るようですが、みんカラユーザーの評判は上々です。
スピーカーケーブルに関しては、センターパネルからフロントドアまでと配線距離が短いので、自動車純正スピーカーケーブルでも音質は変わりませんが、スピーカーセットに付属してくるクロスオーバーフィルターに直結されたスピーカーケーブルを使用した方が作業が楽です。
KICKER 43CSS674の再生周波数帯域は35Hz〜21KHzです。
※人間が聞き取る事の出来る周波数は20Hz〜20,000Hz
サブウーファー carrozzeria TS-W3020
30cmのウーファー「 carrozzeria TS-W3020」とTS-W3020専用のエンクロージャー「UD-SW300D」を選択しました。
※30cmウーファー「TS-W3020」の販売は終了しているようです。「TS-WX3030」が後継機種と思われます。
「carrozzeria TS-W3020」はビッグシャーシですので取付口径298mmと30cmウーファーにしては大きめです。
TS-W3020の口径に合わせて作られた専用のエンクロージャー「UD-SW300D」では、一般的な30cmウーファーの取付ネジ穴より口径が大きくネジ止めすることもできません。
一般的なサイズの30cmウーファーを使用する方はこちらのエンクロージャーを参考にしてください➜12インチウーファーBOX【BRAiTH PL-027】スペック調査
デジタルパワーアンプ電源ケーブル carrozzeria RD-228
使用するデジタルパワーアンプ「 carrozzeria GM-D8400」の消費電流は、消費電力の低いデジタルアンプとはいえ29Aです。
消費電力が同じアンプでも、12V乗用車では100V家庭の8倍以上の電流がケーブルに流れます。
自作するとしても5スケア(sq)以上の電線でないと車両火災を招く危険がありますから、余裕のある太いケーブルを使用してください。
パワーアンプ用電源ケーブルセット「carrozzeria RD-228」は、 MAX80A/960W対応ですので、今後アンプを入れ替えることを考えても余裕があります。
RCAケーブル+サブウーファーケーブル
RCAケーブルは、丁度いい長さにしたかったので、音楽機材専門のネット通販大手サウンドハウスさんからマイクケーブルとRCAコネクタ部材を購入して、自分で半田付けしました。自作するとコスト的にも安くあがります。
メインユニット(フロント出力)~デジタルパワーアンプ(CHANNEL A)
- 商品名: CANARE L4E6S BLUE 1m (L4E6SBL) マイクケーブル、切売り1m単位、青
数量: 2m - 商品名: CANARE F10 RCAピンコネクター
数量: 4個
メインユニット(サブウーファー出力)~デジタルパワーアンプ(CHANNEL B)
- 商品名: MOGAMI 2534-1m Red (2534RD) マイクケーブル、4芯、6Φ、切売り1m単位、赤
数量: 2m - 商品名: REAN NYS-352G (NYS352G) RCAコネクター、シルバーボディ、金メッキ端子
数量: 4個
デジタルパワーアンプ~サブウーファー
- 商品名: BELDEN 8412 マイクケーブル / ギターシールド (8412) 楽器用ケーブル、2芯、切売り、黒
数量: 5m
デッドニング
ドアのサービスホールをすべてふさぐなどは費用対効果が薄いので、必要ないと思いますが、ビビりがある所や、簡単に反響を取り除ける所は対策すべきです。
- 制振材:日東電工レジェトレックスD-300N、Stp Aero、フェリソニ、レアルシルト
- 遮音材:遮音シート(DIYでは難しいので入れなくても良い)
- 吸音材:ニードルフェルト、シンサレート、エプトシーラーテープ、ウレタンスポンジ緩衝材
- ドアアウターパネル:制振材、防音材、吸音材の順番に貼る。
- ドアインナーパネル:サービスホール全てに制振材を貼る。ケーブル・内張接触部に防音テープを貼る。
- ドア内張:吸音材
ハイエースやキャラバンなどのバンタイプは運転席の真下にエンジンがあるので、ドアだけでなく床面へのデットニングも効果があります。
恒久的な対策ではありませんが、エンジン音を下げる効果がある、モリブデン系のエンジン添加剤もオススメです。PITWORK(ピットワーク)エンジンオイル添加剤 モリプラス 60ml はコスパが良くいすゞコモガソリンエンジンに添加した所、体感できるほど音と振動が減りました。あと燃費も良くなりました。
写真の制振材「日東電工レジェトレックスD-300N」は、車中泊時雨音軽減のためルーフに貼った物です参考記事はこちらです➜レジェトレックスを貼る6つのメリット/車中泊バン
まとめ
- メインユニット:carrozzeria DEH-970
- デジタルパワーアンプ :carrozzeria GM-D8400
- トゥイーター+ミッドレンジスピーカー:KICKER 43CSS674
- サブウーファー:carrozzeria TS-W3020
- パワーアンプ電源ケーブル :carrozzeria RD-228
- RCAケーブル+サブウーファーケーブル:マイクケーブル、RCAコネクタで自作
音量をあげるとホームオーディオで使用している、「Victor SX-V1m」とほとんど変わらないはぎれの良い音質です。
※「Victor SX-V1m」:スタンドとセットで20万円程の昔のブックシェルフスピーカー( 出力音圧レベル87dB/W/m)
視聴比較はマーラー 交響曲第5番 (カラヤン)で行ったのですが、カーオーディオの方が低音は迫力があります。「ズッしん」っと体の中で響いて感動的です。
ちなみに視聴比較したホームオーディオのプリメインアンプは、当初10万円程度のサンスイの大きなアンプを使用しておりましたが、場所を取るので、価格とサイズを徐々に落として最終的に3,000円の小さな中華デジタルアンプに行き着きました。
「Victor SX-V1m」の出力音圧レベル87dB/W/mと能率はほどほどですが、音質の違いはそれほどでもありませんでした。
最後に、タイムアライメント機能付きでアンプレスのDSP(HELIX DSP MINI)も評判が良くおもしろそうですが、希望小売価格 \77,000と高価ですので、カロッツェリアDEH-970希望小売価格 \38,500はコスパがかなり良いことがおわかりいただけると思います。
HELIX DSP MINI 6chデジタルシグナルプロセッサー
動作サンプリングレート:96KHz/24bit
希望小売価格 \77,000
ロードノイズやエンジン音、スピーカーからの位置や角度が違って「良い音=原音(録音)に忠実な音」を作るのが極めて難しい車室内ですが、DIY好きで、想像力溢れるあなたなら「低コストで理想の音になる5つのこと」について考えて工夫すれば、もっと楽に、もっと効率良くシステムを構築できると思います。
低コストで理想の音になる5つのこと
- 2.1ch
- トゥイーター(2~4cm)、ミッドレンジスピーカー(16~17cm)、サブウーファー(25~30cm)
スピーカーごとにHPF(ハイ・パス・フィルター)、LPF(ロー・パス・フィルター)設定周波数をクロスオーバー。
スピーカーごとの距離と方向。 - 50W程度のデジタルアンプ
- DSP(オートタイムアライメント&オートイコライザー)機能
- ビビる所だけ制振対策(ドアサービスホールを塞ぐなどは費用対効果が薄いので必要ない)
今回のカーオーディオで2.1chタイムアライメント&クロスオーバーで満足いくシステムが組めた経験を活かして、コスパの良いPCオーディオを2.1chで組んでおります。
PCオーディオは、ニアフィールドでスピーカー設置位置や向きも比較的簡単に変更できますので、タイムアライメントは必要ありませんが、クロスオーバーは必須だと思います。
PCオーディオのクロスオーバー用に中古プロ用ディバイダー「Behringer CX2310」とジャンクステレオ・パワーアンプ「CLASSIC PRO CP400 」を購入、「CLASSIC PRO CP400 」はプロ用ですのでPCオーディオ(ホームユース)用に、ファンの静音化と整備(電源スイッチ端子ガタ修理)した記事はこちら➜クラッシクプロ CP400 パワーアンプ静音化
PCオーディオのスピーカーはとりあえず「YAMAHA NS-BP200」を使用、Amazonアウトレット購入時のちょっとしたハプニング記事はこちら➜トゥイーター(ツィーター)へこみ修理