はじめに:「捨てられない」から始まった分解の旅
「最近、なんだかフィルターが匂うんだよね…」
シャープの加湿空気清浄機KC-W45を使い始めてから数年。気づけばフィルターから微妙な臭いが漂うようになり、いつしかリビングの隅に追いやられていました。
「捨てるのはもったいない。でも、このまま置いておくのも邪魔だ。」
そんなジレンマの中、ふと思いついたのが「中のファンを再利用できないか?」というアイデアでした。現在製作中の屋根裏収納に、空気循環用の換気扇が欲しかったのです。
「よし、分解してみよう。ついでに内部構造も記録しておけば、誰かの役に立つかもしれない。」
こうして、シャープ加湿空気清浄機KC-W45の完全分解プロジェクトが始まりました。
分解前の準備:今回の「患者」KC-W45のスペック
分解するのは、シャープ製 加湿空気清浄機 型名KC-W45です。
基本スペック
- メーカー: シャープ(SHARP)
- 型番: KC-W45
- 主な機能:
- プラズマクラスター搭載
- 加湿機能付き
- ホコリセンサー
- 温湿度センサー
分解前の状態


フィルター、加湿用タンク、トレイは既に汚れがひどかったため、写真を撮る前に処分しました。本体側面のラベルに各フィルターの情報が記載されているので、そちらで仕様を確認できます。
【本記事の目的】
- シロッコファンを取り出して屋根裏換気扇として再利用
- 内部センサーの仕組みを理解
- 分解手順を記録して情報共有
STEP 1:後ろカバーを外す – まずは外堀から
分解は本体の後ろ側からスタートです。
作業手順:
- 見えるネジを順番に外す
- カバーが外れたら、新たに見えたネジも外す
- この繰り返しで徐々に内部へ
【作業のコツ】
- ネジの種類が複数あるので、外した順にトレイに並べておく
- プラスドライバー(No.2)が基本
後ろカバーを外すと、モーター部分やセンサー類が姿を現しました。
「おお、これが内部構造か…思ったよりシンプルだな。」


STEP 2:ホコリセンサーと温湿度センサーを外す – 精密センサーの正体

(ぶら下がっている白いBOX)
ホコリセンサー

黒いBOXの中に格納されていたのがホコリセンサーです。
仕組み:
- 空気中の粉塵を光学的に検知
- ハウスダストモニターの表示に連動
温湿度センサー

ホコリセンサーが入っている黒いBOXの奥に、温湿度センサーが配置されていました。
役割:
- 室内の湿度を測定
- 加湿機能の自動制御に使用
「こんな小さなセンサーで、部屋の空気を常に監視していたのか。」
ホコリセンサーと温湿度センサーBKTの土台を外すと、配線が複雑に絡み合っているのが見えました。
STEP 3:水位センサーと加湿フィルター回転センサーを外す – W50B磁気ホールセンサーICの秘密


本体の給水トレイ付近にあるグレーのBOXを取り外します。
外し方:
- 固定ネジを外す
- 本体底の爪を指で押して引き抜く
グレーのBOXの手前に見えるのが水位センサー、BOX内の茶色の基板が加湿フィルター回転センサーです。
水位センサーの仕組み


発見! 給水タンクの下のトレー内に磁石付きのフロート(廃棄済みで写真はない)が付いており、基板上のW50B磁気ホールセンサーICがフロートの位置を感知して水位を検知する仕組みになっていました。
「なるほど、フロートが浮くと磁石が近づいて、ホールセンサーがそれを感知するわけか。シンプルだけど確実な方法だな。」
加湿フィルター回転センサーの仕組み



(写真上側にキューブ状の磁石を確認できる)
水位センサーと同様にW50B磁気ホールセンサーICを使用していますが、こちらは加湿フィルターケースに組み込まれた磁石を感知して、フィルターケースの回転数を測定しています。
加湿フィルターケースの写真を見ると、上側にキューブ状の磁石が埋め込まれているのが確認できます。
「同じセンサーICを使い回しているのは、コスト削減の知恵だな。」
STEP 4:加湿フィルターモーターを外す – MT8-Lモーターの謎


加湿フィルターを回転させるモーターを取り外します。
モーター型番:MT8-L
面白いことに、このモーターはコードが2本なのに、コネクタは3ピンが付いていました。
「なぜ3ピン? 上位機種は回転数検知モーターを使用しているのか…」
STEP 5:フロントカバーを外す – 真ん中の爪が強敵




フロントカバーの取り外しに挑戦。
【難所】 真ん中の爪がなかなか外れません。
「むむむ…固い。」
慎重にマイナスドライバーでこじりながら、少しずつ外していきます。外したら爪の構造を確認しておきましょう。
外し方のコツ:
- 操作部からのコネクタを外す
- メイン基板からのコネクタを外す
- 真ん中の爪を慎重にこじる
STEP 6:メイン基板カバーを外す – 制御の中枢へ

メイン基板カバーのネジを外すと、いよいよ加湿空気清浄機の「頭脳」が姿を現します。
「ここが全ての指令を出している場所か。」
基板には細かな電子部品がびっしりと実装されています。
STEP 7:プラズマクラスター発生ユニットを外す – シャープの看板技術
シャープの看板技術、プラズマクラスター発生ユニットを取り外します。
プラズマクラスターの仕様(要注意)

新製品等の取扱説明書によると、
プラズマクラスターイオンを高濃度な状態でお使いいただくために、高濃度を確保できる総運転時間約19,000時間を経過すると、全ての運転を停止する機種もあるとのこと。
「解除方法が不明だと迷惑な仕様だ…」
計画的陳腐化(Planned Obsolescence)の典型例とも言えます。約19,000時間は、1日8時間使用で約6.5年。この期間を過ぎると、ユニット交換(初期化も?)が必要になります。
「ファンだけ再利用目的だとやっかいだ…この機種にはない仕様なのでよかった」
STEP 8:ファンを外す – 静音シロッコファンとの出会い

いよいよ本命、シロッコファンの取り外しです。
シロッコファンとは?
多翼送風機とも呼ばれ、狭いスペースで効率的に風を送ることができる優れたファンです。
特徴:
- 静音性が高い
- 風量が安定
- コンパクト
「これは良いファンだ。屋根裏換気扇にぴったりじゃないか!」
ファンは10mm六角ナットで固定されていました。ナットを外すと、シロッコファンとケースが分離できファンの清掃が可能です。

STEP 9:操作部を外す – 最後の仕上げ


操作部を取り外して、分解作業は完了です。
操作部基板の裏側には、タクトスイッチとLED、抵抗が並んでいるはずですが、既に十分な情報が得られたので確認はスキップしました。
「以上で分解は終わり。思ったよりシンプルな構造だったな。」
検証実験:センサーを全て外して運転してみた
「センサーを全部外したら、ちゃんと動くのか?」
好奇心に駆られて、メイン基板からセンサーのコネクタを全て外して運転実験を行いました。
実験結果
問題なく運転できました!
モニター表示:
- ハウスダストモニター:全て緑(キレイ表示)
- 湿度:低表示
- 給水ランプ:赤点灯(※空気清浄だけのボタンを押せば消える)
- 除菌イオンランプ:青点灯(常にスイッチON状態)
「センサーがなくても、基本的な送風機能は問題ないんだな。」

Tips:一部のセンサー(プラズマクラスター、温湿度センサー)を追加して運転実験もOK

再利用計画:屋根裏換気扇として第二の人生
再利用する部品
- シロッコファン(メイン)
- プラズマクラスター発生ユニット(検討中)
- ホコリセンサー(検討中)
- 温湿度計(検討中)
取り外す部品(電気代削減のため)
- 加湿用モーター
- 水位センサー
- 加湿フィルター回転センサー
現在製作中の屋根裏収納に、この静音シロッコファンを使った空気循環換気扇を設置する予定です。
「捨てるはずだった空気清浄機が、屋根裏で新しい役割を果たす。これぞDIYの醍醐味だ。」
今回活躍した工具
必須工具
- インパクトドライバー(マキタMTD001推奨)
- 長いスリムビット(アネックス ダイヤモンド龍靭ビット推奨)
あると便利な工具
- プラスドライバー(No.2)
- マイナスドライバー
- 10mm六角レンチ
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まとめ:捨てる前に、分解してみよう
今回の分解で学んだこと
- W50B磁気ホールセンサーICの賢い使い方
- 水位センサーと回転センサーで同じICを使用
- 磁石とフロートの組み合わせでシンプルに実現
- シロッコファンの優秀さ
- 静音で強力
- 再利用価値が高い
- プラズマクラスターの19,000時間制限(機種によって)
- 計画的陳腐化の一例
- ユニット交換が必要
- センサーなしでも基本動作は可能
- 送風機能は独立している
- モニター表示は固定値になるが動作する
「捨てるのはもったいない」の正体
使わなくなった家電を分解してみると、再利用できる部品の宝庫であることに気づきます。
- 静音ファン
- 精密センサー
- 高性能モーター
- 制御基板
これらは全て、新しいDIYプロジェクトの材料になり得ます。
「今回のシロッコファンは、屋根裏で第二の人生を歩むことになる。これが本当の『もったいない精神』だ。」
次のステップ:屋根裏換気扇プロジェクト
このシロッコファンを使った屋根裏空気循環換気扇の製作は、別記事で詳しく紹介する予定です。
予定している構成:
- シロッコファン(KC-W45から取り出したもの)
- プラズマクラスター発生ユニット(空気清浄効果)
- 温湿度センサー(環境モニタリング)
- タイマー制御(省エネ運転)
「使わなくなった空気清浄機が、屋根裏で新しい命を吹き込まれる。DIYって、本当に面白い。」
【参考】シャープKC-W45完全分解チェックリスト
分解を検討している方のために、手順をチェックリスト化しました。
分解手順チェックリスト
- STEP 1:後ろカバーを外す(プラスネジ複数)
- STEP 2:ホコリセンサー土台を外す
- STEP 3:温湿度センサーを確認
- STEP 4:グレーのBOXを外す(水位センサー・回転センサー)
- STEP 5:加湿フィルターモーターMT8-Lを外す
- STEP 6:フロントカバーを外す(真ん中の爪に注意)
- STEP 7:メイン基板カバーを外す
- STEP 8:プラズマクラスター発生ユニットを外す
- STEP 9:シロッコファンを外す(10mm六角ナット)
- STEP 10:操作部を外す
再利用できる主要部品
- シロッコファン(静音・高性能)
- プラズマクラスター発生ユニット
- W50B磁気ホールセンサーIC(水位・回転)
- ホコリセンサー
- 温湿度センサー
- MT8-Lモーター
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「捨てるのはもったいない。分解すれば、新しい可能性が見えてくる。」
これが、今回のシャープ加湿空気清浄機KC-W45完全分解プロジェクトから学んだ最大の教訓です。



