扇風機の修理

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扇風機の修理アイキャッチ

最近の扇風機は、DCモーターかブラシレスDCモーターで電気代が安いものが多いですが、今回修理するのはジモティーで譲って頂いたAC単相モーターのカッコいい扇風機です。

譲って頂いた扇風機は羽がゆっくりでしか回らないとの症状でしたので、フィルムコンデンサの容量抜けが原因だろうと見当をつけておりましたが、結果はスイッチのケーブル接続端子の清掃で羽根が勢いよく回るようになりました。

同時にローター軸と軸受ジョイントの固着したグリスの清掃及びグリス入れ替えと、軸に挿入されていた劣化したスペーサーの交換を行いました。

修理前後で軸を手で回した重さは殆ど変わらなかったので、軸周りの整備が扇風機の羽根がゆっくりしか回らない症状の解決策だったとは考えにくいです。

それでは扇風機を分解した写真を交えて紹介します。

目次

扇風機の分解

この記事のACモーター扇風機の電気的な構成部品は、単相モーター、フィルムコンデンサ、スイッチ(3スピード切替)の3つだけですので非常にシンプルです。

ACモーター扇風機動作原理とフィルムコンデンサ

100VのACモーター扇風機のモーターは単相モーターが使われ、
単相モーター内部には、主巻線と補助巻線の2つの巻線があり、
主巻線は電源に、補助巻線は進相コンデンサを介して電源に接続されています。
進相コンデンサで交流の位相を90度ずらしてニ相電源に近い波形を作り出し、回転磁界を発生させてローターに直結された軸と軸に取り付けられた羽根を回転させます。

進相コンデンサーにはAC電源が入力できる極性のないフィルムコンデンサーが使用されています。

あとは機械的な、ローター軸、軸受ジョイント、左右首振り機構などで、こちらもシンプルです。

STEP
ツマミ2つを外す
  • 電源速度コントロールツマミ:上に引き抜くだけで外れます。
  • 左右首振りツマミ:#2ドライバーでネジを外し上に引き抜くと外れます。
電源速度コントロールツマミと左右首振りツマミ
電源速度コントロールツマミと左右首振りツマミ
電源速度コントロールツマミと左右首振りツマミを外した所
電源速度コントロールツマミと左右首振りツマミを外した所

電源速度コントロールスイッチは14mmの六角ナットで固定されていたようですが、メネジ部が折れていました。

スイッチ分解後、アセトンで接着できたので材質はPPだと思われます。

電源速度コントロールスイッチは14mmの六角ナットで固定する受けが折れていました
電源速度コントロールスイッチは14mmの六角ナットで固定されている
STEP
白いカバーを外す

白いカバーは、頭が2.7の三角ボルトを一本外すと外れます。

白いカバーを外す
STEP
進相コンデンサー(フィルムコンデンサー)の確認

進相コンデンサー(フィルムコンデンサー)のタイラップと絶縁被覆付閉端接続子(CE形)を外してテスターでフィルムコンデンサーの容量を計測したところ1.98μFだったので異常なし。

250V2μFフィルムコンデンサ
250V2μFフィルムコンデンサー
STEP
左右首振り機構のカバーを外す
左右首振り機工カバーを外したところ
左右首振り機構のカバーを外したところ
左右首振り機工のツマミとカバー
左右首振り機構のツマミとカバー
STEP
左右首振りステーを外す
左右首振りステーを外す
STEP
モーターステーターと後ろ側モーターケースを外す

羽根とガードを外し、

7mm六角ナットを4本外してモーターステーターと後ろ側モーターケースを外す。

モーターステーターと後ろ側モーターケース
モーターステーターと後ろ側モーターケース
モーターステーターと後ろ側モーターケース分割
モーターステーターと後ろ側モーターケース分割
モーターステーター
モーターステーター
ローター、軸と前側モーターケース
ローター軸と前側モーターケース

ローター軸、軸受ジョイントの清掃とグリス入れ替え

ローター軸のスペーサーなどの付属品を外す

前後白いプラスチックワッシャーに付いていた黒いワッシャーは割れていました。

割れた黒いワッシャーは、劣化が進んでパリパリに割れるので、素材はゴムなのかナイロンなのかも判別できません。

ローター軸
ローター軸
ローター軸のスペーサーなどの付属品を外した所とステーター、後ろ側モーターケース
ローター軸のスペーサーなどの付属品を外した所とステーター、後ろ側モーターケース

軸に挿入されていた劣化したスペーサーの交換

劣化した黒いワッシャ厚をノギスで計測すると1.1mmだったので、厚みが同じ手持ちのハット型キャップを利用してワッシャにしました。

1.1mmワッシャーは前後に一枚ずつ入っておりましたが、新たにワッシャーを2つ製作するのが面倒だったので、後ろ側に一枚しか入れませんでした。軸の回転動作に影響はありませんでした。

ハット型キャップを加工してワッシャ製作
ハット型キャップを加工してワッシャ製作

ローター軸、軸受ジョイントの清掃とグリス入れ替え

後ろ軸受ジョイント

軸受ジョイントをIPAで清掃後、軸内にはペースト状のシリコングリスを塗布、白いスポンジはボールジョイントの外側に油を供給するような役割がありそうなので、ミシン油がなかったから信越シリコーンをふくませておきました。

後ろ軸受けジョイント清掃前
後ろ軸受ジョイント清掃前
ボール型のジョイントを動かしながら清掃
ボール型のジョイントを動かしながら清掃
ボール型のジョイントを動かした所
ボール型のジョイントが上の写真と比べて動いているのがお分かりになるでしょうか

前軸受ジョイント

左右首振り機構を清掃後グリス入れ替え

左右首振り機工を清掃後グリス入れ替え
左右首振り機構を清掃後グリス入れ替え

スイッチの接点清掃

4本のケーブルは留め具をマイナスドライバーなどで押すと外れます。

スイッチ(3スピード切替)
スイッチ(3スピード切替)

スイッチ(3スピード切替)のケーブル接続接点をIPAで清掃

スイッチ(3スピード切替)のケーブル接続接点清掃
スイッチ(3スピード切替)のケーブル接続接点清掃

組付け

扇風機の分解と逆の手順で組み付けます。

ローター軸、後ろモーターケースにステーターを挿入
ローター軸、後ろモーターケースにステーターを挿入
ローター軸、モーター類を取付
ローター軸、モーター類を取付

進相コンデンサー(フィルムコンデンサー)の接続

進相コンデンサー(フィルムコンデンサー)を絶縁被覆付閉端接続子(CE1形)で接続しケーブルをタイラップで固定します。

扇風機の整備後は、勢いよく羽根が回るようになりました。

MERCURY 10 inch METAL STAND FAN
扇風機のスペック

ヴィンテージアメリカンテイストのMERCURYの扇風機は、日本の株式会社マーキュリー(MERCURY Inc.)が展開するブランドのようです。

サイズ約 幅33.4cm×奥行き 33.4cm×高さ 85.0~119.5cm
ファンガード:約 直径 30.0cm×奥行き 23.0cm
羽根径:約 25.5cm
カラーアイボリー・カーキ・ブルーグレー・ブラウン
素材スチール
重さ約 4.78kg
おもりのみ:約 1.50kg
コードの長さ約185cm
電源AC100V 50/60Hz
消費電力約30W
高さ調節約 85.0cm~119.5cm
風量調節3段階( 弱・中・強 )
首ふり角度左右:約 80度( 自動 )
上下:上向き約 10度/下向き約 10度( 手動 )
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