車・バイクDIYの必須安全装備5選|元プロが教える「ケガをしない」ための選び方

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はじめに:DIYは楽しい。でも、その代償は高くつくかもしれない

車やバイクのDIYは、自分で愛車を整備する楽しさや、工賃を節約できるメリットがあります。しかしその反面、実はプロの現場以上にケガや事故のリスクが高いということをご存知でしょうか?

私自身、かつてトラックの修理工場で働いていた頃、「仕事が遅いと思われたくない」「ちょっとした作業だから大丈夫だろう」という慢心から、安全装備なしで作業をしていた時期がありました。

その結果、私は大きな代償を払うことになりました。

  • 熱い金属粉が目に飛び込み、膜に焼き付く
  • 数日後、目の中で鉄粉が錆びて痛みが出る
  • 鋭利な部品で指を深く切る

これらを繰り返した結果、入社時に2.0あった視力は0.3まで低下。当時、産業医には労災申請を勧められましたが、若かった私は「大げさだ」と断ってしまいました。今思えば、本当に恐ろしいことをしていたと反省しています。

その後、同僚が大怪我をするのを目の当たりにし、**「体こそが資本」**であることに気づいてからは、どんな小さな作業でも必ず安全装備をするようになりました。

車・バイクDIYで起きる事故の多くは、数千円の安全装備さえあれば防げるものばかりです。

この記事では、修理工場の現場と、眼底カメラなどの医療機器メーカーでの修理経験を持つ私が、**「これだけは絶対に用意してほしい」**と痛感した必須の安全装備を5つ厳選してご紹介します。

これからDIYを始める方も、すでに作業をしている方も、一生残るケガをする前にぜひチェックしてください。

車・バイクDIYで事故が起きやすい「魔のシーン」

大事故は、特別な作業ではなく「いつもの作業」の中に潜んでいます。

作業シーン想定されるリスク
グラインダー・サンダー作業高速回転する砥石や金属片による目・顔の重傷
金属部品の脱着エッジやバリによる指の切断・深い切創
下回り(ジャッキアップ)作業車両落下による圧死・骨折
塗装・ケミカル使用粉塵・有機溶剤吸引による肺や気管支の損傷

最低限そろえるべき安全装備【優先度順】

① 保護メガネ(最優先)

なぜ必須なのか?

金属粉やサビは、想像以上の勢いで飛散します。
普通のメガネでは隙間から異物が入り込み、最悪の場合、失明につながります。
グラインダー作業中に金属粉が飛ぶ様子

【元プロの実体験】

グラインダー作業中、普通のメガネの隙間から金属粉が入り込み、視力が低下するほどのケガを負いました。あの時の恐怖は一生忘れられません。 その後、医療機器(眼底カメラ)の修理技術者として目の構造を学んだ際、**「目は露出している臓器であり、皮膚などで守られていない」**という事実を再認識しました。

目のケガは、一度やってしまうと取り返しがつきません。DIYをやるなら、工具よりも先に買うべき装備です


【選び方のポイント】

  • 顔にフィットする形状:下や横からの侵入を防ぐ
  • ANSI Z87.1(米国国家規格)対応品:衝撃に強い
  • 曇り止め加工:作業効率に直結する

★おすすめの使い方

保護メガネクリア:軽作業では、直ぐに装着できるタイプを使用しています。安価な消耗品なので、視界が悪くなったら即交換できるようにまとめ買いしています。

山本光学SN-770:直ぐに装着でき防護に対する安心感もあり長時間の作業に向いています。

山本光学SN-1000:私が実際に使って感動したのは、顔の曲線にフィットするゴーグルタイプです。数時間使っても曇らず、何より「守られている」という安心感が違います。

② 耐切創グローブ

なぜ必須なのか?

車の金属部品のエッジやバリはカミソリのようなものです。
一般的な軍手では防刃効果がほとんどなく、簡単に切れてしまいます。

【元プロの実体験】

以前は素手や軍手で作業していましたが、指先を切るのは日常茶飯事でした。しかし、耐切創グローブに変えてからは、鋭利な部分に触れても「ヒヤッ」とするだけで済み、流血沙汰になることがなくなりました。 最近のものは指先の感覚もしっかり残るため、細かいボルト作業も問題ありません。

③ 防塵マスク

なぜ必須なのか?

ブレーキダストやサビの粉塵は、一度肺に入ると体外へ排出されにくい物質です。
防じんマスク3M(スリーエム) 8805-DS2と防護メガネをした整備士が、ブレーキダストをエアーで吹かしてブレーキダストが沢山舞っている写真

【元プロの実体験】

修理工場の先輩方には、長年の粉塵吸引が原因と思われる慢性的な咳に悩まされている方が多くいらっしゃいました。たとえ短時間の作業であっても、将来の健康を守るためにマスクは必須です。「排気弁付き」のものを選ぶと、メガネが曇りにくく呼吸も楽なのでおすすめです。

④ ジャッキスタンド(リジットラック)

なぜ必須なのか?

油圧ジャッキはあくまで「持ち上げる道具」であり、「支える道具」ではありません。油圧はいつか抜けます。
ジャッキスタンドをかけタイヤを外す

【元プロの実体験】

正直に告白すると、昔は油圧ジャッキだけで足回り作業をしていました。今思うと自殺行為です。 現場では、リフトから4トントラックが倒れる事故や、油圧シリンダーが抜けて挟まれる事故を見てきました。プロの設備でも事故は起きます。ましてや不安定な自宅の環境なら尚更です。

私は現在、**「ジャッキスタンド」+「タイヤや枕木を車体の下に入れる」**という二重の対策をしています。ジャッキスタンドをかけると車体がガッチリ安定し、安心して作業に集中できます。これは「あると便利」ではなく「ないと死ぬ」装備です。

⑤ 耳栓・イヤーマフ

なぜ必須なのか?

インパクトレンチやグラインダーの高音は、確実に聴覚細胞を破壊します。
イヤーマフと防護メガネをして鉄を削る作業員

【元プロの実体験】

工場には、長年の騒音環境のせいか、常に大声で話さないと会話ができない先輩もいました。難聴は徐々に進行するため自覚しにくいのが怖いところです。趣味のDIYで耳を悪くしないよう、保護具を活用してください。

用途別おすすめ安全装備セット

作業レベルに合わせて、以下のセットを準備することをおすすめします。

🔰軽整備セット(オイル交換・洗車・電球交換など)

🔧本格DIYセット(研磨・切断あり)

🚗足回り作業セット(タイヤ脱着・ブレーキ整備など)

  • ジャッキスタンド(必須)
  • 上記すべての装備

安全装備を使う上での注意点

安全装備は「つけていれば何をしても安全」ではありません。
サイズが合っていない装備や、劣化した装備は逆に危険です。
  • サイズ確認
  • 消耗品は定期交換
  • 過信しない

よくある質問(FAQ)

Q. たまにしかやらないDIYでも安全装備は必要ですか?
A. 必要です。 むしろプロよりも作業環境が整っていないDIYこそ、リスクが高いため必須です。

Q. 安い装備でも意味はありますか?
A. あります。 ただし、保護メガネなら「ANSI規格」など、最低限の安全規格をクリアしているものを選んでください。100円ショップのものなどは避けたほうが無難です。

Q. 車DIYで一番多いケガはなんですか?
A. 「目への異物混入」と「指の切創」です。 この2つは適切な装備さえあれば、ほぼ100%防ぐことができます。

まとめ:安全装備は「コスパ最強の工具」

車やバイクのDIYで起きる悲しい事故は、そのほとんどが事前に防げるものです。 治療費や、働けなくなる期間の損失、そして何より身体的な苦痛を考えれば、数千円〜数万円の安全装備は**「もっともコストパフォーマンスの良い工具」**と言えるでしょう。

「まだ揃えていない装備がある」という方は、次の作業を始める前に、必ず用意しておいてください。あなたの体は、交換の効かない唯一のパーツなのですから。

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