ノズルを清掃しても印刷カスレがあるので使わなくなったプリンターがあるけど捨てるのはもったいないなー。
プリンターは電子工作やDIYで使える部品を取り出すと、いろいろと活用できるのでお得です。
この記事ではプリンターのモーターと電源を使ってコスパ最強のルーターを作った話をしたいと思います。なぜそんなことをしたのかというと、古いプリンターが壊れてしまって、捨てるのはもったいないと思ったからです。
ルーターは木工や金属加工などに使う道具で、先端のビットを付け替えることで材料を削ったり彫ったり磨いたり穴をあけたりすることができます。
プリンターのモーターは高速で回転してトルクもあるので、ルーターに適していると思いました。
電源はモーターに必要な電圧と電流を供給するために使いました。
トルクのある市販のルーターは高価で重く、上記写真のようなトルクのないルーターを我慢して使用している方は、自分で作るとお得で便利です。
プリンターのモーターと電源はインターネットやリサイクルショップで安く手に入れることができます。
それでは、作り方を見ていきましょう。
自作ルーターの作り方
必要なもの
まず、必要な材料と道具を用意します。プリンターはモーターと電源が動くものであれば何でも構いません。私はEPSONのPM-A750というモデルを使いました。
他に必要なものは、以下の通りです。
- ドリルチャックとコレット
ドリルチャックはモーター軸径φ3.17に合わせて購入。
購入したコレットはルータービット3㎜と2.35㎜に対応したもの。 - DCDCモーター速度コントローラー(レギュレーター)
使用する電源出力にあったものを選ぶ今回は41.2V 出力なのでそれ以上のものをAmazonで購入。 - ドライバー
- ニッパー
- ハンダごて
- ハンダ
- ノコギリ
オプション(なくても良い) - 電圧電流計
ノコギリはプラスチックケース切断に使用しますので板厚0.5mm以下でアサリ無しのものを用意します。
プラモデル用ノコギリは高いので木工用のダボ切りレザーソーが腰折れせず大工仕事やプラスチック切断にも使えておすすめです。
自作ルーターの作り方手順
ドライバーでケースを外し、中にあるDCモーターと電源を取り出します。DCモーターは、紙を送るためのものと、インクカートリッジを動かすためのものがあります。
どちらを使用しても良いです。
電源はAC100VからDCに変換する基板です。これらの部品は、プリンターのモデルによって形や位置が異なるかもしれませんが、基本的にはコンセントからケーブルをたどっていくと最初にあるBOXです。
乳液の空箱が丁度良いサイズだったので加工してケースにしました。
ケース蓋の部分の内側には0.5mm厚プラバンを瞬間接着材で接着してはめ込み式にしました。
ギヤプーラーはホビー用の万力をグラインダーで切れ込みを入れるなどして自作しました。
モーターは赤と黒の二本の線で電源に接続されています。これらの線をニッパーで切り、正回転(右回転)になるようにDCDCモーター速度コントローラーのMoter出力プラスとマイナスへ接続します。
今回の電源の場合ACアダプターからは3本の線が出ていますのでそれぞれテスターで確認して、
- 41.2V出力:青線をDCDCモーター速度コントローラーのPOWERプラスへ。
- GND:DCDCモーター速度コントローラーのPOWERマイナスへ。
- 40.0V出力:使用しないのでビニールテープなどで絶縁。
ルータービットと呼ばれる砥石やヤスリ、刃物を取り付けるためにルータービットの軸に合うようにコレットを選びます。
ルータービットをコレットに差し込んだら、ドリルチャックのねじを手で回して固定します。これでルーターは完成です。
ルータービットはホームセンターやネットで手に入ります。
ルータービット軸径は
①電動工具用:3mm ②ホビー用:2.3/2.35mmとあります。2.3mm、2.35mmは数字では0.05mm異なりますが同じ仕様としてお使いいただけます。
コンセントに差し込んで、スイッチを入れてみましょう
モーターが正回転して、ルータービットが動くことを確認します。
逆回転(左回転)する時はモーターのプラスマイナス線を入れ替えます。
正回転(右回転)でないとトルクがかかった時に正ねじでコレットを締め付けているドリルチャックが緩んでビットが外れてしまったりドリルで穴があけられません。
DCDCモーター速度コントローラーのツマミはON・OFFスイッチ兼用で、時計回りに回していくと出力電圧が上がってモーターの回転が速くなります。
ちなみに、ルータービットを強く押し当てて磨き作業などをするとモーターの回転軸に負荷がかかりモーターに流れる電流が上がります。
プリンターの電源とモーターの組み合わせだとかなり強く押し当てて磨き作業を行っても止まることはなくルーター作業全般でストレスは感じませんでしたのでかなりおススメです。
また以外にもモーターを直に持っての作業に違和感はなく、むしろ扱いやすくて気に入りました。
プリンター モーターのスペック
(RS-445PA14230データシート調べ)
MABUCHI MOTERのRS-445PA14233
レンジ:12-42V
定格回転数:5500r/min
定格トルク:13.6mN·m
出力:7.82W
停動トルク:81.6mN·m
停動電流:1.50A
停動電流とは、モーターの回転軸に過負荷がかかって回転軸が停止してしまった時のモーターに流れる電流値のこと。
注意点としては、ルータービットの回転中に触らないように気をつけてください。また、ルーターを使うときは安全メガネや手袋などの保護具を着用してください。
電圧電流計を取り付ける
必要があれば以下の写真実態図を参考に電圧電流計を取り付けます。
今回使用した電圧電流計はAmazon販売ページに配線図がありますのでご確認ください。
ちなみに今回使用した電圧電流計の電源は、DCモーター速度コントローラーのモーター出力からとっているのでモーター回転速度により電圧可変となりボリューム最大にすると電源41.2V となります。
普段ルーターとして使用する際モーターの回転スピードは20~25Vで十分すぎるほどなので問題ないと思いますが、この電圧電流計の仕様は30Vまでですので、実験的に何度か最大出力40V以上まで上げてモーターを回転させましたが短時間であれば電圧電流計は壊れることはありませんでした。
しかし30秒ほど40Vで回転させ続けると電圧電流計が煙を吹いて壊れてしまいました。
電圧電流計を取付けるなら40V電源を降圧モジュールで30V以下にした別電源を使用することをお勧めします。
3個セットで買った電圧電流計の残り2つも試すつもりでおりましたが、汚い梱包袋に入れたままにしていたところ、試すまで日にちがあいてしまい電圧電流計を袋に入れていたことをすっかり忘れて袋ごと捨ててしまったようで残念ながら報告できません。
最後にモータケーブルは細くて作業中扱いやすいのですがその分耐久性が低いと思われるので補強を入れたほうが良いです。
以上が、プリンターのモーターと電源を使って工具のルーターを作る方法です。自分で作ったルーターで色々なものを作ってみてくださいね。このブログでは他にも面白い工作やDIYのアイデアを紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。この後はプリンターで卓上工具箱を作ったので是非ご覧ください。