全自動コーヒーメーカーの異音・停止不良を「0円」で直すDIY

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パナソニック全自動コーヒーメーカーNC-A56の異音・停止不良をDIY修理するガイドイメージ
目次

はじめに:その「爆音」、諦めるのはまだ早い

「手で淹れるよりも美味い」と評判のパナソニック全自動コーヒーメーカー。長年連れ添ったこの愛機から、最近こんなサインが出ていませんか?

  • 豆を挽く際、耳を覆うような甲高い爆音がする
  • 挽き終わっているのに、ミルが自動で止まらない

「刃がダメになったか」「もう寿命か……」 そう判断して買い替える前に、少しだけ待ってください。それは致命的な故障ではなく、単なる**「モーター整流子の汚れ」**である可能性が高いのです。

メーカー修理なら数千円、買い替えなら2万円。しかし、自分の手でメンテナンスすれば費用はタダ(または数百円のケミカル代のみ)。 何より、機械内部に溜まった数年分の垢を一掃し、静寂を取り戻す作業は、格好の週末プロジェクトになります。

故障の正体:なぜ「止まらない」のか?

いきなり結論から申し上げます。 原因はモーター内部にある「整流子(コミュレーター)」へのカーボンカスや油分の堆積です。

汚れや酸化被膜が厚くなりすぎると、電気的な接触不良(断続的な通電不良)が起きます。これが異常な振動を生み出し、「まだ豆を挽いている最中だ」と振動センサーに誤認させてしまうのです。

このまま放置すればモーターが異常摩耗して本当に壊れてしまいますが、今の段階なら「掃除」だけで完治する可能性が非常に高いです。

準備:道具とケミカル

今回のターゲットはパナソニックの名機『NC-A56』ですが、同系等のNC-A55P / NC-A55 / NC-A57なども基本構造は同じです。

必須ツール

  • プラスドライバー(2番):
    • 推奨:WERA Kraftform Plus。レーザーチップがネジに食い込み、固着したネジも舐めずに回せます。良い工具は作業の質を上げます。
  • ピンポンチ(2mm)&ハンマー: ミル刃を外すために必要です。
  • 洗浄剤: パーツクリーナー、またはIPA(イソプロピルアルコール)。
  • ブラシ: 使い古しの歯ブラシ等。
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推奨ケミカル(グリス)

  • シリコングリス(またはフッ素グリス): モーターシャフトの潤滑用。
    • ※重要:ご家族の健康を気遣うなら「フードグリス(食品機械用)」がベストです。

モーターユニット純正品

いっそのことモーターユニットごと交換したいという貴方へ、純正モーターユニットがネットで手に入ります。

●対応器具:NC-A55P / NC-A55 / NC-A56 / NC-A57

実践!分解と清掃の5ステップ

注意:NC-A58は設計が根本から変わっているため、記事内の「分解ステップ」はそのまま適用できません(モーター自体は類似の整流子モーターの可能性がありますが、アクセス方法が不明です)。 読者が混乱しないよう、「この記事の分解修理手順は、主にNC-A57以前のモデル(A55/A56/A57)を対象としています」

警告:必ずコンセントを抜いてから作業を開始してください。感電の危険があります。

STEP1:外装(ドーム部・上部カバー)を外す

まずは「衣」を脱がしていきます。

バケット、ガラス容器、水タンクを全て取り外します。

背面上部のネジ(2本)、豆投入口周りの黒い皿ネジ(4本)を外します。

右側のカバーを外すとドーム部を外すことができて、 隠しネジ(1本)が現れるので外します。

これで上部のプラスチックカバー全体が取り外せます。

NC-A56コーヒーメーカーのバケット・ガラス容器・水容器を取り外した状態
NC-A56のバケット、ガラス容器、水容器
コーヒーメーカー背面上部のプラスネジ2本を外す作業
背面上部のプラスネジ2本を外す
豆投入口周りの黒いプラス皿ネジ4本を外す作業
豆投入口周りの黒い皿ネジ(4本)を外します
右側カバーを外してドーム部を外すと現れる隠しネジ
右側のカバーを外すと右側のカバーを外すとドーム部を外すことができて、 隠しネジ(1本)が現れるので外します。
現れた隠しネジを外した状態
ネジを外すと上部カバーが外せる状態に
上部カバーを外したコーヒーメーカー内部の様子
上部カバーを外す
コーヒーメーカー内部の振動センサー基板
緑の基板は振動センサー

この状態で緑色の基板(振動センサー)を確認できます。

STEP2:モーターユニットを取り出す

心臓部にアクセスします。ここまではドライバー1本で可能です。

モーターに繋がる白いコネクタを抜きます。

モーターユニットを固定しているネジ(2本)を外します。

ユニット裏側の赤いコネクタを抜けば、モーターユニットごとゴソッと取り出せます。

上部カバーを外したコーヒーメーカー内部の様子
モーターに繋がっている白いケーブルコネクタを外す作業
モーターに繋がっている白いケーブルコネクタを外す
コーヒーメーカーのモーターユニット固定ネジ2本を外す
モーターユニット固定ネジ2本を外す
モーターユニット裏側の赤いケーブルコネクタを外してユニットを取り外す
モーターユニットの裏側の赤いケーブルコネクタを外すとモーターユニットを取り外すことができる
コーヒーメーカーのモーターユニットを外した状態

STEP3:【核心】モーター分解とミル刃の取り外し

ここが一番の山場です。慎重に行いましょう。

豆投入口(ネジ2本)を外します。

ミル刃の取り外し: 固定しているスプリングピンを、2mmのピンポンチで打ち抜いて外します。

モーターのプラカバー(ネジ2本)を開け、ゴムブッシュとリングを外します。

ブラケット(金属板)を外すと、モーターのローター(回転軸)を抜くこともできますが、カーボンブラシに傷を入れたくなかったので今回は抜きません。

Check: 内部はコーヒーの微粉と油分で驚くほど汚れているはずです。これらを綺麗にするだけでも愛着が湧きます。

コーヒーメーカーから取り外したモーターユニット全体
モーターユニット
コーヒー豆投入口の固定ネジ2本を外す作業
コーヒー豆投入口の固定ネジ2本を外す
コーヒー豆投入口を外した状態
コーヒー豆投入口を外したところ
ミル刃を固定しているスプリングピンを2mmポンチで打ち抜いて外す
ミル刃を固定しているスプリングピンを2mmポンチで打ち抜いて外す
ミル刃を外した状態
ミル刃を外したところ
モータープラスチックカバーの固定ネジ2本を外す作業
モータープラスチックカバーの固定ネジ2本を外す
モータープラスチックカバーを外したところ
モータープラスチックカバーを外したところ
モーターのゴムブッシュとリングを外す作業
ゴムブッシュを外して、リングを外します
モーターローターコアブラケット(BKT)を固定している2本のネジを外してBKTを外した後に、BKT固定ネジを一本だけ締めもどした状態
モーターローターコアブラケット(BKT)を固定している2本のネジを外してBKTを外します。BKT固定ネジは整流子側のBKTも共締めしているネジなので一本は締め込んでいます。
ピンセットとダスパーを使ってモーターローターコアブラケット(BKT)などのモーター部品をIPAで清掃する様子
ブラケットなどはIPAで清掃します

ここまで分解したら整流子側のBKTも外してモーターローターコアを抜いて整流子を清掃しても良かったのですが、カーボンブラシを折るなどやらなきゃ良かった状況に陥る予感がしてやめました。

ここまでの作業で外したプラスチックカバー、パッキン、洗える部品などはセスキ炭酸ソーダ、クエン酸、中性洗剤で洗浄しておきます。ピカピカになりますよ。

STEP4:整流子の清掃(修理の本丸)

モーターの回転軸にある銅色の部分、ここが「整流子」です。

清掃: 整流子の溝に詰まったカーボンカスをブラシで徹底的に掻き出します。

脱脂: IPAやパーツクリーナーを含ませたダスパー(クリーニングペーパー)で、整流子表面をピカピカに拭き上げます。

※溝が深くなければ研磨までする必要はありません。汚れを落とすだけで十分効果があります。

※注意:ここには絶対にグリスを塗らないでください!通電不良の原因になります。基本ドライです。

整流子の溝に詰まったカーボンカスをブラシで徹底的に清掃する作業
整流子の溝までブラシでシッカリカーボンカスを落とす
整流子をIPA(イソプロピルアルコール)で清掃および脱脂する作業
整流子はIPA(イソプロピルアルコール)などで清掃及び脱脂する

STEP5:グリスアップと組み立て

最後は潤滑を与えて組み上げます。

グリス塗布: モーターシャフト(軸)と軸受け部分に、薄くグリスを塗ります。

逆手順で組み立て:

ローターを戻し、ワッシャー類の順番(平→波→平)を間違えないように。

ミル刃を戻し、ピンを打ち込みます。

配線を挟み込まないよう注意しながら、ケースを閉じます。

モーターシャフトへのグリス塗布作業
モーターシャフトのグリスアップ
モーターローターコアシャフトにワッシャー・ウェーブワッシャー・BKTを組み付ける
モーターローターコアシャフトにワッシャー、ウェーブワッシャー、ワッシャー、BKTの順にを組み付ける
BKTをネジ2本で固定しゴムブッシュを取り付ける作業
BKTをネジ2本で固定しゴムブッシュを取り付ける
モーターにプラスチックカバーを取り付ける作業
モーターにプラスチックカバーを取り付ける
モーターにプラスチックカバーを取り付けたらミル刃を取り付ける
モーターにプラスチックカバーを取り付けたらミル刃を取り付ける
ミル刃のスプリングピンをポンチで入れている作業
ミル刃を取り付けたらスプリングピンをポンチで入れる
ミル刃をスプリングピンで固定した状態
ミル刃をスプリングピンで固定したところ
上部カバーを取り付けている作業
ネジの締め忘れがないか確認しながら組み立て

動作確認:あの「静寂」が戻ってくる

ネジの余りがないか確認し、コンセントを接続。 豆を投入してスイッチオン。

「ガリガリガリ……シーン」

以前の甲高い爆音は消え、挽き終わると同時にピタリと止まる。あの心地よい動作音が戻ってきたはずです。これで修理完了です。

修理完了後のコーヒーメーカーで全自動でコーヒーが抽出される様子
全自動でコーヒーができれば作業完了

【最新版】パナソニック NC-Aシリーズ 機種別比較・互換性表


本記事の修理対象はNC-A56ですが、モーター清掃の考え方は歴代機種で有効です。ただし、最新のNC-A58は構造が大きく異なります。

型番発売時期特徴・主な変更点修理・部品の互換性メモ
NC-A55P

NC-A55
2009年頃【名機】

沸騰浄水機能を搭載した基本モデル。今の全自動スタイルの完成形。
構造: A56/A57と共通

ガラス容器: A56と共通

活性炭フィルター: 共通品番
NC-A562014年【デカフェ機能追加】

「豆の挽き分け(粗挽き/中細挽き)」フィルター2種付属になり、カフェインレス豆専用コースを搭載。
構造: 共通(本記事のモデル)

ガラス容器: A55と共通

活性炭フィルター: 共通品番
NC-A572018年【ロングセラー】

デカフェ機能が進化(「デカフェ豆」コース)。マイコン制御の最適化が進む。
構造: 共通

ガラス容器:互換性なし(独自形状)

活性炭フィルター: 共通品番
NC-A582025年【フルモデルチェンジ】

幅約15cmのスリム設計に一新。「ストロング」コース追加。容量は4カップに縮小。
構造: 別物(分解手順は異なります)

ガラス容器: 互換性なし(専用品)

活性炭フィルター: 非搭載

⚠️ ここだけは注意!「ガラス容器の罠」

見た目はそっくりですが、NC-A57だけガラス容器(デカンタ)の形状が異なります。 NC-A56以前のモデルをお使いの方が、間違えて現行品(A57用)のガラス容器を買ってしまうケースが多発しています。

  • NC-A56 / A55系用: ACA10-142-K
  • NC-A57用: ACA10-1421K0
  • NC-A58用: ACB10-176 (サイズ・形状ともに全くの別物です)

【番外編】消耗品リスト(純正部品)

長く使うなら、消耗品の交換も検討してみてください。

活性炭フィルター 純正部品番号:ACA95-119-K
【対応機種】NC-A25/NC-A55/NC-A55P/NC-A56/NC-A57

水容器 純正部品番号:ACA20-167-K0
【対応機種】NC-A57

ガラス容器 純正部品番号:ACA10-142-K
【対応機種】NC-A25/NC-A55/NC-A55P/NC-A56

Panasonic
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ガラス容器 純正部品番号:ACA10-1421K0
【対応機種】NC-A57

ガラス容器のフタ 純正部品番号:ACA92-119-K
【対応機種】NC-A25/NC-A55/NC-A55P/NC-A56/NC-A57

コーヒーミル用 バスケット 純正部品番号:ACA19-167-K0
【対応機種】NC-A57

コーヒーミル用 バスケットふた 純正部品番号:ACA21-142-K
【対応機種】NC-A25/NC-A55/NC-A55P/NC-A56/NC-A57

メッシュフィルター 中細びき 純正部品番号:ACA13-1191T0
【対応機種】NC-A56/NC-A57

メッシュフィルター 粗びき 純正部品番号:ACA43-157-G0
【対応機種】NC-A56/NC-A57

編集後記

新しい家電を買うのは簡単です。しかし、手をかけてメンテナンスした道具には、新品にはない「魂」が宿ります。 「まだ使えるものは、直して使う」。そんな大人の流儀で、今週末は愛機のメンテナンスなどいかがでしょうか。

ねこ先生

とは言っても、部品交換で直らない場合や、バラす手間を考えると、新品に交換してしまうのが一番早くて確実です。

最新NC-A56、57後継機は2万円程度で買えるので、新品を買うのも手です。

パナソニック全自動コーヒーメーカーNC-A56の異音・停止不良をDIY修理するガイドイメージ

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