住宅ローンを完済してしばらくすると住宅ローンを組んでいた銀行から登記関連の書類が送られて来ましたが、抵当権の抹消は自分でするのかな?
抵当権の抹消は、法律上の抵当権設定者である債務者が行います。抹消の手続きについても、法務局で登記簿に「抹消したこと」を登記することが必要です。
手続きは司法書士や行政書士に依頼するのが一般的ですが、少し面倒ですが自分で行うことができる簡単な手続きです。
普段はお金を使わずになんでも自分で修理することやDIYを楽しんでいるブロガーです。今回は全く素人ですが住宅ローンを完済したので抵当権抹消の登記を自分でオンライン申請してみました。
抵当権の抹消とは、住宅ローンなどの借金を完済した後に、不動産についていた抵当権を消すことです。抵当権があると、不動産を売ったり贈ったりすることができません。
抵当権の抹消は必ずしも直ぐにする必要はないのですが銀行から送られてくる書類には3カ月ほどしか有効期限がありません、また、今後めまぐるしく変化する世の中で生き残れずに淘汰されてしまった地方銀行から書類を再発行するための余計な手間を考えると直ぐに済ませておくべきだと思います。
抵当権抹消の登記申請は、司法書士や行政書士に依頼するのが一般的ですが、頼むと2万円以上余計に費用がかかるそうなので自分で申請すると費用を抑えることができます。
自分で申請するには、申請書をオンラインで入力する申請と手書きの申請用紙を使うやり方があります。
オンライン申請と言っても銀行がデジタル署名した添付情報がないと申請書をオンライン申請できるだけです。
銀行がデジタル署名した添付情報がない場合は、いずれの申請方法でも添付情報に記載した書類を持ち込むか書留郵便で送る必要があるので、手書きの申請用紙で申請を行う人が多いようです。
実際にオンライン申請でやってみると手書きの申請用紙で申請を行った方が楽だとおもいました。
私の場合は登記完了後、書面交付しなくてもデジタルで確認できれば楽だろうと思いオンライン申請に勉強がてらチャレンジしてみました。
それでは、抵当権抹消の登記申請をオンラインで自分でやった経緯の詳細を順番に紹介します。
手順①抵当権抹消の登記申請前の準備
住宅ローン等を完済した(抵当権抹消の登記をオンライン申請したい方):法務局
まず、上記法務局のサイト1ページすべてを読みました。
そしてページ最初の必要な書類がローン返済日から約2週間後に銀行から送られてきた書類(抵当権設定契約証書、委任状、登記識別情報通知)に揃っているか確認しました。
揃っていなければ銀行に問い合わせる必要があります。
登記識別情報通知については、住宅購入後すぐに司法書士から送られてきた書類の中にも同じものが一部づつ入っておりました。
また、現住所と差異がないか確認するために住宅購入後すぐに司法書士から送られてきた書類の中の全部事項証明書を用意しておきます。
私の場合は申請にあたってあらためて自分で発行した書類はありませんでした。
必要書類とうを揃える
- 登記原因証明情報(抵当権者から受け取った抵当権抹消証明書)
私の場合は、住宅ローンを組んだ際に記入した抵当権設定契約証書に「主債務消滅により本契約は解除いたしました」と日付けとローンセンターの名前と印が押されて銀行から送られてきたものがこれにあたります。
→電子証明が付されていない押印のある書面だったのでオンライン申請受付後3日以内に法務局へ持参しました。
- 代理権限証明書情報
私の場合は、委任状
→電子証明が付されていない押印のある書面だったのでオンライン申請受付後3日以内に法務局へ持参しました。
- 登記識別情報又は登記済証
私の場合は、建物1枚、土地3枚(3筆だったので)の登記識別情報通知
→電子証明だったので法務局へ持参する必要なし
- 登記簿謄本(全部事項証明書)
申請書記載の際に権利部(乙区)の順位を確認するために必要です。
- マイナンバーカード(オンライン申請に必要な電子署名用のカード)
ICカードリーダライタが必要です。
ICカードリーダーライターがなければ、地方公共団体情報システム機構が提供する「公的個人認証サービスに対応したICカードリーダライタの適合性検証ツール」を使用して検証された以下のカードリーダーライターが入手しやすくおすすめです。
登記原因証明情報
銀行から送られてくる登記原因証明情報はいろいろなタイトルがあり書式も様々なようです。
代理権限証明書情報
銀行から送られてきた委任状の空欄になっていた代理人の住所と氏名欄に自分のそれを記入しました。
代理人の押印が必要かどうかわからなかったので名前の横に自分の印鑑を押して法務局へ提出しました。
法務局窓口の職員の方に確認した所、この書式では押印の必要はないが押していても大丈夫とのことでした。
登記識別情報
登記識別情報の12桁の英数字はオンライン申請の際入力の必要があるのでシールを剥がして確認します。
登記事項証明書に記載の氏名と住所が現状と一致しているか確認する
現状の名義人の住所および氏名は、登記事項証明書(全部事項証明書)のそれと一致している必要があります。
もし不動産を購入した時点で前に住んでいた住所で手続きを行っていた場合は
所有者の住所変更の登記を行ってからでないと抵当権抹消の登記ができません。
不動産購入時に不動産仲介業社のアドバイスのもとさまざまな手続きを行っていれば住所変更の必要はないと思います。
しかし、購入時の状況はそれぞれだと思いますので確認が必要です。
ちなみに所有者の住所変更の登記もオンライン申請できるようです。
申請者情報の登録
登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっとのページの中の
申請者情報の登録←登記・供託オンライン申請システム – 利用規約の同意ページに飛ぶリンクです。(初めての方のみ)
※利用時間平日 午前8時30分から午後9時までとなっていました。
申請に必要なソフトをダウンロードする
申請用総合ソフト←ソフトダウンロードページのリンクです。
法務局のリンクをたどって上記「申請用総合ソフト」をインストールしました。
申請者ID及びパスワードは申請者情報の登録時のものを使用しました。
「申請用総合ソフト」でオンライン申請書作成
「申請用総合ソフト」(※利用時間平日 午前8時30分から午後9時まで)にログインして、法務局のリンクをたどって以下の手引き、体験コーナーで勉強しながらオンライン申請書を作成しました。
- 申請用総合ソフトの手引き(抵当権の登記の抹消編)←クリックするとPDFがダウンロードされます。
- 登記・供託オンライン申請システム 申請者操作手引書~不動産 登記 申請 申請用総合ソフト編←クリックするとPDFがダウンロードされます
- オンライン登記申請 体験コーナー【抵当権抹消登記編】 | 登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと
それでもわからないところが出てきたので以下に私が実際に記入した申請用総合ソフトで作成したオンライン申請書のスクショ画像に矢印や補足文を入れたものを添付しておきますので参考にしてください。
会社法人番号は国税庁の公表サイトで調べることもできます。
「甲/乙」欄から乙区を選択します。
補足情報
所有権に関する登記(所有権の保存、移転、差押えなど)の場合は,「甲区」を、所有権以外の権利に関する登記(抵当権、地上権、賃借権など)の場合は、「乙区」を選択します。
ファイル添付
出典:体験コーナー(ファイル添付)(法務省)
申請用総合ソフトの手引きやオンライン登記申請 体験コーナー【抵当権抹消登記編】のファイル添付を参考にして、申請書に記載した添付情報の書類3種をスキャナーで取り込んでPDFファイルでアップロードしました。
- 登記原因証明情報
- 登記識別情報
- 代理権限証明書情報
電子署名の付与
出典:体験コーナー(電子署名の付与)(法務省)
オンライン登記申請 体験コーナー【抵当権抹消登記編】の署名付与を参考にしてカードリーダーライターをパソコンに繋ぎマイナンバーカードを使って電子署名を付与しました。
電子署名の際、マイナンバーカードのパスワードを求められますのでマイナンバーカードの4つある暗証番号のうち署名用電子証明書暗証番号を入力します。
「ICカードリーダの初期化に失敗しました。」というエラーメッセージが出たとき
パソコンでの電子署名は、確定申告で毎年問題なく利用できていたのですが、今回パソコンを新しくしていたことが原因で以下の経緯をたどってクリアしました。
マイナンバーカードで電子署名をする際、
「ICカードリーダの初期化に失敗しました。ICカードがICカードリーダに差し込まれているか確認してください。」とエラー表示しました。
デバイスマネージャーでICカードリーダーライターは認識されており、ドライバーも問題なく当たっているにもかかわらずエラーメッセージが表示されておりました。
トラブルシューティングを確認すると「設定が正しいかどうかを発行元認証局に確認する」こととありましたので、
認証局から提供されたプログラム(公的個人認証局の電子証明書の場合、「公的個人認証サービスポータルサイト」(外部サイトのJPKI利用者ソフトのダウンロード)からダウンロードします。)でご使用のOSにあったインストーラーをダウンロードしてインストールします。
ダウンロードした利用者クライアントソフトのインストーラーJPKIAppli03-05.exe(Windows版)←クリックするとインストールが開始されます。
インストール完了後には、エラーなくマイナンバーカードで電子署名の付与を完了することができました。
申請書の送信
出典:体験コーナー(申請書の送信)(法務省)
オンライン登記申請 体験コーナー【抵当権抹消登記編】の申請書の送信を参考にしてを参考に申請内容を確認して送信しました。
登録免許税の電子納付
登録免許税の納付期限は登記申請書を送って受付確認後翌日までなので、申請書を送信してすぐに納付した方が良いです。
出典:体験コーナー(申請書の送信)(法務省)
オンライン登記申請 体験コーナー【抵当権抹消登記編】の処理状況確認・電子納付を参考に楽天銀行などのインターネットバンキングを利用して登録免許税を納めます。
「書面により提出した添付情報の内訳表」の印刷
「書面により提出した添付情報の内訳表」は、添付書類を法務局へ提出する際一緒に添付する必要があります。
「書面により提出した添付情報の内訳表」の印刷の仕方
出典:申請用総合ソフト利用ガイド オンライン申請 1-1不動産登記申請【共通編】STEP9(法務省)
申請用総合ソフトを起動し、「処理状況表示」画面の「アクション」のメニューから「書面により提出した添付書類の内訳表の印刷(不動産)」をクリックして、「書面により提出した添付情報の内訳表」を印刷します。
「書面により提出した添付情報の内訳表」を誤って横向きに印刷したものを提出したのですがその件で注意を受けることはありませんでした。
具体的な操作方法は、申請用総合ソフト利用ガイド オンライン申請 1-1不動産登記申請【共通編】(←クリックするとPDFがダウンロードされます)の「STEP9 オンラインにより送信しない添付情報の提出」をご覧ください。
添付書類を管轄の法務局へ持参又は書留で郵送します。
こちらも期限が数日と短いです。
私は申請書を送信して明朝には受付確認されておりましたので、その日に管轄登記所へ持参しました。
持っていく書類
不動産登記の電子申請をしたので添付情報に記載した登記識別情報を除く、
- 抵当権設定契約証書
- 委任状
- 書面により提出した添付情報の内訳表(申請用総合ソフトから印刷)
以上3つの書類を管轄登記所へ持参しました。
記憶が定かではありませんがもしかすると運転免許書などの身分証明書や認印も必要だったかもしれません。
書類を持参した際は、法務局窓口の職員の方と少し話せる時間がありましたので、データで送った登記申請書の誤っている箇所(補正が必要になるであろう箇所)を教えて頂けました。
管轄登記所の検索
各管轄登記所や不動産登記申請の具体的な手続に関するお問い合わせは、法務局ホームページの管轄のご案内(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html)より確認できます。
抵当権抹消の登記申請完了
補正の必要があれば連絡がありますが、なければ公文書取得まで待ちます。
私の場合は、補正の連絡がありましたので詳細は以下にリンクした記事でご紹介しております。
公文書取得
出典:「申請用総合ソフト利用ガイド オンライン申請 1-1不動産登記申請【共通編】STEP11」(法務省)
上記Bを選択して電子公文書の書き出しボタンをクリックするとPDFデータでダウンロードできます。
詳しい操作方法は下記ガイドをご参照ください。
登記・供託オンライン申請システム 申請者操作手引書~不動産 登記 申請 申請用総合ソフト編(←クリックするとPDFがダウンロードされます)
第9電子公文書の取得・表示等
オンライン申請だと、登記完了証を登記所の窓口又は郵送により受領する必要がないのがメリットですね。
また、登記識別情報などの登記に関する書類を交付する際も「申請用総合ソフト」で電子署名入りの物を入手手続き可能なようなので、その点もメリットになるかと思います。
最後に
今回の抵当権抹消の登記申請で、新築建売住宅購入時に不動産仲介業社のアドバイスのもとさまざまな手続きを行っていたこともあり住所変更の必要はありませんでした。
仲介手数料には20万円も払っていたので当然ですが、住宅購入時は会社員であったこともあり暇もなく思考能力が低下していたので仲介手数料の20万円は適当な価格だと思っていましたが今思うと少し高いですね。
以上が、抵当権抹消の登記申請をオンラインで自分でやってみたという話でした。
思ったよりも簡単にできましたし、費用も安く済みました。もちろん、わからないことがあれば専門家に相談するべきですが、自分でやれることもあるということを知っておくと便利だと思います。