【大人の週末DIY】表示は出るのに動かない?12年愛用の炊飯器を「温度ヒューズ交換」で完全復活させる

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炊飯器の温度ヒューズを自分で交換アイキャッチ
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「受け継がれた相棒」時計は動く、だが炊けない

「もう、その炊飯器も寿命じゃないか?」

液晶が消え、沈黙した炊飯器を前にして、家族はそう言った。確かに10年以上前の古いモデルだ。今の高機能な最新機種に買い替えれば、もっと美味しく炊けるのかもしれない。

だが、私にはこの炊飯器を捨てるという選択肢はなかった。

これは数年前、単身赴任を終えて帰任する同僚が、「次は君の番だ、頑張れよ」と、入れ替わりで戦地(赴任先)へ赴く私に託してくれたものだからだ。慣れない土地での孤独な夜、この炊飯器が炊き上げる湯気だけが、私にとって唯一の安らぎだった。

赴任を終え、今は我が家の食卓の真ん中で、毎日家族のご飯を炊き続けてくれている。この炊飯器はもう、単なる家電ではない。戦友から受け継ぎ、私の生活を支え続けてきた、かけがえのない「相棒」なのだ。

メーカーのサポート窓口なら、こう言うだろう。「部品がありません」「買い替えた方が安上がりです」と。

効率を重視する現代社会において、古いものを直して使うことは「合理的ではない」のかもしれない。だが、この相棒の中にある、目には見えない「記憶」や「情」までをも捨ててしまうことの方が、私にはよほど不合理に思える。

わずか数百円の電池と、一本のヒューズ。 それさえあれば、この相棒はまた明日から、温かいご飯を私たちに届けてくれる。

これは、効率を求める世間に抗い、「託された想い」を自分の手で守り抜くための、修復の記録である。

故障の切り分け:なぜ「温度ヒューズ」なのか?

前回、内蔵リチウム電池を交換して時計表示は復活したものの、肝心の「炊飯」ができません。これは明らかに電池切れとは別の、電源系統のトラブルです。

修理に取り掛かる前に、症状から原因を推測します。

電池交換前:コンセントを抜くと表示が消える ➜ 電池切れ

電池交換後:コンセント関係なく時計は表示されるが、ボタン操作不能 ➜ 制御系への通電不良

電源が入らない場合、疑うべきは以下の3点です。

  • 電源ケーブルの断線(テスターで導通確認)
  • 基板部品の故障(コンデンサの膨らみや焼き付き確認)
  • 温度ヒューズの断線(経年劣化や異常過熱で切れる)

今回はテスターでの診断の結果、最も可能性の高い「温度ヒューズ切れ」が確定しました。

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  • 炊飯器のリチウム電池を自分で交換:時計用リチウム電池はコンセントをつないでいない状態で消耗し4~5年で電池が切れてしまいます。

用意する道具と部品

プロの仕事は準備で決まります。特に熱を持つ箇所なので、規格の選定と接続方法は重要です。

  • 交換用 温度ヒューズ:オーム電機 DZ-S169J(ペレット型 169℃ / 10A / 250V)
    ※元部品(SF169E)に近い規格を選定。
  • 接続用スリーブ:ニチフ P型スリーブ(2個)
    重要:温度ヒューズはハンダ付け厳禁です(熱でヒューズが切れるため)。必ず圧着接続します。
  • 工具:プラス/マイナスドライバー、圧着ペンチ(赤柄)、テスター、ニッパー
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主なスリーブの種類

  • E形 リングスリーブ :単線の電線の接続、圧着ペンチは柄が黄色
  • B形 スリーブ:軟鋼のより線、または単線の電線を突き合わせて接続、圧着ペンチは柄が赤色
  • P形 スリーブ:軟鋼のより線の電線を重ね合せて接続、圧着ペンチは柄が赤色
  • CE形スリーブ:より線の電線の接続、圧着ペンチは柄が青色

実践!温度ヒューズ交換の全手順

警告:作業は必ずコンセントを抜き、感電・火傷に注意して自己責任で行ってください。

中央にある突起部分、これが温度センサーとヒューズ格納部です。

今回の交換修理は温度ヒューズのみを行います。

温度ヒューズの場所
手順
裏蓋と電源ケーブルの取り外し

本体を裏返し、固定ネジ4本を外して裏蓋を開けます。

赤い電源ケーブルコネクタ2つを抜きます。

注意:コネクタにはロック解除レバーがあります。絶縁カバーをめくり、レバーを押さえながら引き抜きましょう。無理に引っ張ると断線します。

下の写真の赤矢印部には温度ヒューズに繋がっている黒と赤のケーブルと温度センサーに繋がる白いケーブルが見えます。

温度センサーとリチウム電池の場所
電源ケーブルを外す
爪でレバーを押さえながら引き抜きます。
レバー位置
絶縁保護カバーを外してロック解除レバーをマイナスドライバーで押さえている写真
手順
底釜ユニットの取り外し

ここが少し複雑です。

まず、下の写真の赤丸のケーブルとコネクタを外す。

こちらのコネクタは引き抜くだけです。

底釜はスプリングが効いているのでネジ山を舐めないように、

釜の内部にある「底釜」に手を添えながら、底面の固定ネジ3本を外します。

これで底釜ユニット全体がフリーになります。

底釜ユニットの中央にある突起部分、これが温度センサー兼ヒューズ格納部です。

スプリング、センサー、ヒューズ部をまとめて引き抜きます。

コネクタ・ケーブル・ネジ固定位置
釜の中に手を添えて底釜を外す
釜の中の底釜に手を添えてネジ3本を外す
外した底釜
外した底釜ユニット
手順
温度ヒューズ格納部の摘出

赤と黒のケーブルが繋がっているのが「温度ヒューズ」、白いケーブルが「温度センサー」です。

センサーを固定しているアルミブラケットを外します(カシメられている場合は、打ち抜きポンチやマイナスドライバー等で慎重にこじ開けます)。

外した底釜
①外釜ユニットを分解して行く
釜底の突起部
②この記事の一番最初の写真に写っていた突起部です
この中に温度センサーと温度ヒューズが入っています
温度ヒューズをブラケットごと外す
③温度ヒューズをブラケットごと外す
手順
温度ヒューズの導通チェックと交換作業

テスターを当てて導通がなければ、やはりヒューズ切れです。

切断と接続:古いヒューズを切り離し、新しいヒューズ(169℃)をセットします。圧着:P型スリーブを使用し、電線同士をしっかりと圧着します。ハンダは使いません。

温度センサーの導通確認

もと付いていた温度センサ-

  • 品名:SF169E
    タイプ名(SF:感温ペレット型,SM:可溶合金型)
  • 公称動作温度:172℃
  • 定格電流:10A
  • 定格電圧:250V
炊飯器の温度ヒューズ交換

使用した部品

  • オーム電機 DZ-S169J ペレット型温度ヒューズ 169℃ 1個
  • ニチフ P型スリーブ 2個
手順
再組立と動作確認

逆の手順で慎重に組み立てていきます。

センサーブラケットはポンチ等で再度しっかりとカシメて固定します。

配線をケースに挟まないよう、取り回しに注意して裏蓋を閉じます。

いざ、コンセントを接続。液晶が表示され、ボタン操作で「炊飯」が開始されれば勝利です!

温度センサーブラケットを組み込む前にポッチを打ち抜きなどで戻しておく
温度センサーブラケットを組み込む前にポッチを打ち抜きなどで戻しておく
温度センサーブラケットを取り付けたらセンターポンチなどを打って固定する。
温度センサーブラケットを取り付けたらセンターポンチなどを打って固定する
電源コード
電源コードBOXは爪を取付穴に差し込むだけで固定されておりネジ止めされていませんでした
裏ブタを取り付ける
配線を元に戻して裏ブタを閉めます
配線の引き回しに気を付ける
配線を挟み込まないように配線の引き回しに気を付けて裏ブタを閉めます

電源が入らない故障原因を探る

表示部基板

電源ケーブルの断線

各ケーブルをテスターで導通確認する。

温度ヒューズ切れ

温度ヒューズをテスターで導通確認

基板の実装部品の故障

コンデンサー、サージアブソーバー、抵抗、ダイオード、IC、表示LCDパネルなどを順に確認する。

例えばコンデンサーの膨らみ、熱がこもる場所の小さなコンデンサ、電源を入れて発熱している部品を確認します。

また、はんだ不良個所確認や電源スイッチがある場合は電源スイッチの確認も行います。

LCDパネルに表示が全くされないなどの症状によっては、電源から遠いLCDパネルに3V電源が供給されているかを最初に確認します。

【コラム】安物炊飯器でも「極上の飯」を炊く流儀

修理してまで使い続ける理由は、このシンプルな構造にあります。 IHの高火力も魅力ですが、安価なマイコン炊飯器でも、以下の3点を守れば米は劇的に旨くなります。

水加減は「目盛り」より「勘」 センサーの劣化や個体差と米の品種や新米古米に合わせて、自分で最適解を探る。これが道具を使いこなす楽しさです。

炊けたら即「ほぐし」 マイコン式の弱点である「熱ムラ」は、炊き上がり直後の天地返しでカバーします。余分な水分が飛び、粒が立ちます。

あえての「早炊き」 火力が強いためか、ほとんどの機種は早炊きの方が美味しく仕上がります。

おすすめのお米 私は山形県産の「はえぬき」を愛食しています。単身赴任先で出会って以来、精米したての30kg玄米を通販で購入しています。高級炊飯器を買うよりも、精米したての米を使う方が、味への投資効果は高いと実感しています。

編集後記

もし、ここまで手を尽くしても直らなかった場合…その時は潔く新しい相棒(炊飯器)を探しましょう。修理に挑戦した時間は、決して無駄にはなりません。

不要になった家電は、リサイクル業者や買取サービスを賢く利用して処分してくださいね。

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