マキタバッテリーBL1015が
純正充電器DC10SAで充電出来ない。
症状:
充電器にバッテリーをさすと赤ランプが点灯して3秒ほど経つと赤と緑のランプが交互に点滅して充電出来ない。
赤と緑のランプが交互に点滅して充電出来ない時のバッテリー側の故障原因として①セルバランスが悪い②接点汚れ③温度センサー回路の故障があります。
今回は、③温度センサー回路の故障を作り出し何度まで充電できるか実験をしてみました。
①セルバランスが悪いは、別記事予定をご参照ください。
makitaBL1015バッテリー基板の回路
makitaBL1015バッテリー基板の回路を追って下の写真にまとめました。
充電器に接続する端子
・左端 :電圧測定用
・左から2番目:メインのプラス
・中央 :温度センサー
・右から2番目:メインのマイナス
・右端 :電圧測定用
※中央の端子以外の4端子で3つのセル単体の電圧測定を充電器で行っているのでしょう。
makitaBL1015バッテリーのサーミスタ
makitaBL1015バッテリーには103JT:10kΩサーミスタが温度センサーとして使われていました。
抵抗 103JT 温度特性 | |
---|---|
温度(℃) | 形 名 |
103JT | |
-50 | 367.7 |
-40 | 204.7 |
-30 | 118.5 |
-20 | 71.02 |
-10 | 43.67 |
0 | 27.70 |
10 | 18.07 |
20 | 12.11 |
25 | 10.00 |
30 | 8.301 |
40 | 5.811 |
50 | 4.147 |
60 | 3.011 |
70 | 2.224 |
80 | 1.668 |
85 | 1.451 |
90 | 1.267 |
100 | 0.9753 |
110 | 0.7597 |
120 | 0.5981 |
125 | 0.5331 |
B25/85 | 3435K |
単位:kΩ |
バッテリー基板の回路を見ると、
充電器に接続するBL1015バッテリーのマイナスと真ん中のサーミスタ端子間の抵抗値は、
サーミスタと直列接続された3.3kΩのチップ抵抗との合成抵抗になります。
リチウムイオン電池の充電に適した温度は、一般的に約5℃~45℃ですから、
抵抗値で表すと
サーミスターの抵抗値はデータシートから約22~5kΩ(5℃~45℃)と3.3kΩのチップ抵抗との和の値になり、
BL1015バッテリーのマイナスと真ん中の端子間の抵抗値では約25.3~8.3kΩ程度の範囲内での充電は可で、その範囲外の抵抗値になると充電器は赤点滅で充電不可となりそうです。
いろんな温度で充電できるか実験
実際にいろんな温度で試験する環境がないので
サーミスターの所にいくつかの抵抗を付け変えて
抵抗値を変え疑似的に確認してみたところ
実験したバッテリーでは、
リチウムイオン電池の充電に適した温度は、一般的に約5℃~45℃に対し
少なくとも-10℃~85℃で充電可能でした。
もっと細かく実験すれば範囲が広がるお思いますが大体目安が判ったので良しとしました。
以下に実験内容を記載しております。
125℃以上 ※サーミスターをショート
サーミスターを0Ωにすると充電器は「赤 緑」交互に点滅で充電不可です。
GNDと真ん中の端子は3.3kΩ以下は当然充電不可。
100℃弱
サーミスターを1kΩにすると充電器は一瞬「赤」点滅の冷却中になった後、「赤 緑」交互に点滅で充電不可です。
GNDと真ん中の端子は3.3kΩ以下は充電不可とわかりました。
約85℃
サーミスターを2kΩにすると充電できる。
GNDと真ん中の端子は5.3kΩ
約-3.5℃
サーミスターを33.3kΩにすると充電できる。
GNDと真ん中の端子は36.6kΩ
約-10℃
サーミスターを48.5kΩにすると充電できる。
GNDと真ん中の端子は51.8kΩ
約-26℃
サーミスターを100kΩにすると充電器は「赤 緑」交互に点滅で充電不可。
GNDと真ん中の端子は103.6kΩ以上は充電不可とわかりました。
サーミスターが故障すると何MΩとかの高い抵抗値になることが多いようですので、
上の実験結果がサーミスタ交換の参考になれば幸いです。
サーミスタ交換
サーミスターは故障しておりませんでしたが、ネットで購入したサーミスターに交換してみました。
取付ができるか、室温25℃で充電できるかの確認だけです。
makitaBL1015バッテリーはサーミスタを充電器のバッテリーケースに差し込んで収めるのですが、
購入したサーミスタでは幅が大きかったのでハサミでカットすると長さはギリギリながら収まりました。