【DIY時計修理】オリエント・キングマスターの風防の曇り除去!スクリューバック分解&オシドリの位置

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前回の「シチズン Eco-Drive(ワンピースケース)」の風防曇り取り修理に続いて、今回は腕時計メンテの定番「スクリューバックケース」の分解・清掃記事をお届けします。

今回の患者は、Orient(オリエント) EM00-C2 CA King Master(キングマスター)

1960年代の名作「キングダイバー」を忠実に復刻した初代復刻シリーズ(1996〜1999年頃製造)の一つで、球面クリスタルガラスや内面回転ベゼルが特徴的なネオヴィンテージモデルです。

裏蓋のない「難攻不落のケース」に挑んだ前回記事はこちら

前回の記事では、裏蓋がそもそも存在しない「ワンピースケース」という非常に特殊な構造のシチズン・エコドライブの曇り取りに挑戦しました。 上から風防ベゼルをこじ開ける難易度高めのDIY記録となっています。今回のスクリューバック式との構造の違いや、分解アプローチの違いをぜひ読み比べてみてください。

👇 【ワンピースケース分解】シチズン・エコドライブの風防が曇る?上から開けるダイバーズウォッチの曇り除去・サビ取りDIYメンテ

目次

症状:ガラス風防内側の白い曇り

長年の使用により、風防の内側にうっすらと白い曇りが発生してしまいました。

パッキンの経年劣化によってわずかな湿気(今回は少し油分も混じっているようでした)が入り込んだ、古い時計の典型的な症状です。せっかくの美しい青い文字盤がくすんで見えてしまっていたため、サクッと分解してメンテナンスを行いました。

使用工具

  • 3点式裏蓋オープナー(ケースオープナーレンチ)
  • レンズティッシュ(ダスパー)
  • ピンセット・マチバリ
  • 作業マット、手袋(指サック)など

作業手順(スクリューバック標準分解)

1. 裏蓋の取り外し

一般的なスクリューバック式ですので、3点式裏蓋オープナーを溝にしっかり噛み合わせ、反時計回りに丁寧に回して外します。

3点式裏蓋オープナーでオリエント・キングマスター(EM00-C2)のスクリューバックを開ける様子
本体から取り外されたオリエント・キングマスター(EM00-C2)のスクリューバック裏蓋

3点式裏蓋オープナー(または明工舎等の強力オープナー):安いものでも開きますが、しっかりホールドできるものが安心です

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2. ムーブメントの確認と保護

裏蓋を開けたら、文字盤側に埃や汚れが入り込まないよう慎重に作業を進めます。

内部には、ローターに「21 JEWELS」「46943」の刻印が輝くCal.46943ムーブメントが搭載されていました。

オリエント・キングマスター(EM00-C2)の裏蓋を外した内部ムーブメント。ローターに21 JEWELSおよびCal.46943の刻印

3. オシドリを押してリューズ(巻芯)を抜く

ケースからムーブメントを取り外すため、まずはリューズ(巻芯)を抜きます。

このムーブメントのポイントは「リューズを引くと、オシドリがぴょこんと現れる」という構造です。

  1. リューズを引く前は、オシドリは引っ込んでいて見えません。
  2. リューズを一段引くとオシドリが顔を出します。
  3. 出てきたオシドリのポッチをマチバリ(または専用工具)で軽く押しながら、リューズをスッと引き抜きます。
リューズを引く前のオリエント・キングマスター(EM00-C2)のムーブメント。オシドリが引っ込んでいる状態
リューズを引く前:オシドリが引っ込んでいる状態
針でオシドリを押しながらオリエント・キングマスター(EM00-C2)のリューズ(巻き芯)を引き抜く様子
リューズを引いた後:出てきたオシドリを針で押しながらリューズ(巻き芯)を引き抜く様子
本体からリューズ(巻き芯)が完全に引き抜かれたオリエント・キングマスター(EM00-C2)
本体からリューズ(巻き芯)が完全に引き抜かれた状態

リューズが抜けたら、ケースをそっとひっくり返し、文字盤と針が付いた状態のムーブメントを取り出します。

ケースから取り出された、文字盤と針が取り付けられた状態のオリエント・キングマスター(EM00-C2)のムーブメント
ケースから取り出された、文字盤と針が取り付けられた状態のムーブメント

4. 風防内側の清掃

ムーブメントを取り外すと、裏側から風防ガラスの内側にアクセスできるようになります。

白く曇り、皮脂や埃で汚れていたガラス面を、レンズティッシュ(ダスパー)を使って乾拭きしていきます。

💡 清掃のコツ

球面ガラスは平らなガラスよりも拭きムラが出やすいため、中心から外側へ向かって「クルクルと円を描くように」拭き上げるのが綺麗に仕上げるポイントです。

※本来であれば風防パッキン接触部の溝のサビ落としや、針・カレンダー(日車・曜車)の清掃も行いたいところですが、そこまでやると本格的なオーバーホールになってしまうため、今回は「曇り除去」に留めました。

📸 清掃ビフォーアフター

レンズティッシュで乾拭きする前の、曇りや皮脂、埃で汚れたオリエント・キングマスター(EM00-C2)の風防内側
清掃前:曇りや皮脂、埃で汚れたの風防内側
レンズティッシュでの乾拭きを終え、曇りや埃が綺麗に除去されたオリエント・キングマスター(EM00-C2)の風防内側
清掃後:レンズティッシュでの乾拭きで、曇りや埃が綺麗に除去された

ダスパー(レンズティッシュ):普通のティッシュだと繊維が残るため、カメラや時計の清掃には必須です

5. 組み立て

清掃が完了したら、逆の手順で組み上げていきます。

  1. ムーブメントをケースに戻し、リューズを差し込む。
  2. 裏蓋パッキンにシリコングリスを塗布する。
  3. マイナスドライバー等でパッキンの捻じれや浮きがないか確認する。
  4. 裏蓋を適正トルクでしっかりと締め直す。
スクロールできます
専用の塗布器を使いシリコンオイルを塗布したオリエント・キングマスター(EM00-C2)の裏蓋パッキン
マイナスドライバーを使ってオリエント・キングマスター(EM00-C2)の裏蓋パッキンの捻じれを補正する様子
裏蓋に付けたパッキンの捻じれをマイナスドライバーで取り除いている様子
3点式裏蓋オープナーでオリエント・キングマスター(EM00-C2)のスクリューバック裏蓋を閉じる様子

シリコングリス:パッキン保護にはこれ

作業後の印象:青い文字盤が鮮やかに復活!

曇りを取り除いたことで、くすんでいた青い文字盤が鮮やかによみがえりました!

シルバーのインデックスや時針・分針、そして12時位置で輝く「王冠マーク」と「ORIENT」ロゴが美しく際立っています。球面ガラス特有のゆがみや立体感もダイレクトに楽しめるようになり、非常に満足度の高いメンテナンスとなりました。

📸 風防内側 清掃のビフォーアフター

風防内側を清掃する前の、曇りや埃が見られるオリエント・キングマスター(EM00-C2)の青い文字盤
清掃前
風防内側の清掃を終えて青い文字盤が鮮やかによみがえったオリエント・キングマスター(EM00-C2)の全体写真
清掃後

⚠️ スクリューバック分解の注意点

  • 球面ガラスの取り扱い: スクリューバック自体は分解しやすい構造ですが、球面ガラスはフラットガラスに比べて衝撃に弱いため、作業中の取り扱いには十分注意してください。
  • ボタン類の誤操作: このモデル特有の内面回転ベゼル(4時位置リューズ)と日付変更ボタン(2時位置)は、分解・組み立て時に誤って押し込んだり引っ掛けたりしないよう注意が必要です。
  • 防水性能の過信は禁物: 古いモデルのため、公式の防水性能はすでに失われていると考えましょう。長く使うなら、分解のタイミングでパッキン交換を同時に行うのがベストです。
  • 定期的な稼働: 自動巻き(手巻き・ハック機能なし)のため、機械の健康を保つためにも定期的に着用してゼンマイを巻き上げることをおすすめします。

おまけ:私のオリエント キングダイバーコレクション

現在、私が所有しているキングダイバーの系譜は「復刻3本+オリジナル2本」の計5本です。それぞれの年代の顔つきの違いを眺めているだけでもお酒が飲めます。

オリエントのキングダイバーコレクション(復刻版3本とオリジナル版2本)① 写真右:0349-13470 AAA Deluxe
② 写真中下:G429-15470 Chronoace
③ 写真左:F692-UAN0 Weekly Auto
④ 写真中上EM00-C2 CA
⑤ 写真左2番目:EM6F-CA-B
写真位置型番モデル名年代種別
F692-UAN0Weekly Auto Orient King Diver2020年復刻
上中央(本作)EM00-C2 CAKing Diver(King Master系)1990年代後半~2000年代復刻
左2番目EM6F-CA-BKing Diver(King Master系)1990年代後半~2000年代復刻
下中央G429-15470Chronoace King Diver1970年代前半オリジナル
右上0349-13470AAA Deluxe King Diver1960年代末~1970年代初頭オリジナル

コレクター価値ランキング(現時点)

🥇 0349-13470 AAA Deluxe King Diver

🥈 G429-15470 Chronoace King Diver

🥉 F692-UAN0 Weekly Auto

④ EM00-C2 CA(本個体)

⑤ EM6F-CA-B

将来性ランキング(10年後予想)

  • 0349-13470 AAA Deluxe ★★★★★
  • G429-15470 Chronoace ★★★★★
  • F692-UAN0 ★★★★☆
  • EM00-C2 CA ★★★☆☆
  • EM6F-CA-B ★★★☆☆

特に「0349-13470 AAA Deluxe」は非常に状態が良く、AAA最上級ライン・23石・大型ケースというロマン溢れるスペックから、10年後も高い評価が期待できる自慢の個体です。

現行モデルでオリエントのDNAを感じるなら「マコ(Mako)」がイチオシ!

ここまで私が愛してやまないヴィンテージや過去の復刻モデルをご紹介してきましたが、これらはすべて現在ディスコン(生産終了)となっており、ヤフオクやメルカリなどで探すしかありません。

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  • 日常使いに嬉しいサファイアクリスタル: 現行のマコ(一部モデルを除く)にはサファイアクリスタル風防が採用されており、今回の記事で大敵だった「日常の傷」や、そこからくる湿気の侵入リスクに対して非常にタフな仕様になっています。
  • 大人の男心をくすぐるカラーリング: 今回修理したキングマスターのような美しいネイビー文字盤はもちろん、グリーンやバーガンディなど、オリエントらしい絶妙なカラーリングが揃っているのも魅力です。

ヴィンテージ特有の「育てる楽しさ」や「メンテナンスする喜び」も格別ですが、最新の技術でタフに作られた現行マコを「最初の相棒」として迎え、自分だけの歴史を刻んでいくのもまた、時計ライフの素晴らしい醍醐味です。

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