はじめに:資格がなくてもブレーキパッド交換は可能?
「バイクのブレーキ整備は資格がないと違法?」と不安になる方もいるかもしれません。 結論から言うと、使用者本人が自分の愛車を整備・点検することは法律上問題ありません。
むしろ、自分で一度ブレーキパッド交換を行い、構造を理解しておくことは、トラブル時の対応力向上や安全意識の高まりに繋がります。ただし、ブレーキは重要保安部品です。自信がない場合はプロに任せる勇気も持ちつつ、自己責任で慎重に作業を行いましょう。
今回の車両とカスタム状況
- 車両: YAMAHA SEROW250(2017年式 DG17J)
- 交換部品: デイトナ ゴールデンパッドX (シンタードメタルパッド)
【筆者のカスタム事情】 私のセローは、より鋭いブレーキタッチを求めてYZ250用マスターシリンダーとステンレスメッシュホースに換装しています。 純正パッドでは効きが甘く感じたため、今回は制動力に定評のあるデイトナの最上級グレード「ゴールデンパッドX」をチョイスしました。 ※ガレ場(岩場)などではフロントが効きすぎると転倒リスクがあるため、シチュエーションによってフロントブレーキは使用しません。
準備するもの・必要なデータ
作業を始める前に、工具とデータを確認しましょう。
必要な工具・ケミカル
- 12mm レンチ(メガネレンチやソケット)
- マイナスドライバー(ピストン戻し用)
- トルクレンチ
- ブレーキパーツクリーナー
- ウエス
- シリコングリス
- 紙やすり(60番程度)
- 針金やS字フック(キャリパー吊り下げ用)
締め付けトルク
- キャリパーサポートボルト: 31Nm(3.1kgf・m)
- キャリパーブラケット(外す場合): 40Nm(4.0kgf・m)

フロントブレーキパッド交換の手順
本記事では、フロントアクスルのグリスアップも同時に行ったためタイヤを外していますが、ブレーキパッド交換のみであればタイヤを外す必要はありません。


1. フロントブレーキキャリパーを外す
まずはキャリパーをキャリパーブラケットから取り外します。
- キャリパーサポートボルト(12mm)を2本外します。
注意! ブレーキパッドを交換する場合は、ブレーキホースの取り外しとブレーキキャリパーの分解は不要です。ブレーキホースには負荷をかけないでください。外したキャリパーは、用意した針金やフックで車体に吊るしておきましょう。


2. 古いパッドの取り外しと確認
キャリパーブラケットからパッドを取り外します。
- 摩耗状況の確認: 今回交換した純正パッドは、走行7,950kmで残り2.2mmでした。 (新品:5.3mm / 使用限度:0.8mm)
- シムの確認: 純正パッドの裏面(ピストンと接触しない側)に付いている「シム」は再利用します。捨てないように注意してください。※ピストン側はシム無し。


3. 各部の清掃(クリーニング)
新しいパッドを組む前に、ブレーキダストを綺麗にします。
- キャリパーピストン: ブレーキレバーを数回握り、ピストンを少し出してからパーツクリーナーとウエスで磨きます。 ※ピストンを出しすぎると抜けてしまい、エア抜きが必要になるので出しすぎ注意!
- スプリング・ボルト類: キャリパーブラケット上下についている「パッドスプリング」やボルト類も清掃します。
- キャリパーブラケット:外して清掃したい場合は締め付けトルク40Nm(4.0㎏・m)です。


4. グリスアップとピストン戻し
動きをスムーズにし、鳴きを防止するためにグリスを塗布します。私はこだわりがないため、全てシリコングリスで統一しています。
【グリス塗布ポイント】
- ピストン側面
- ダストシール部分
- キャリパーサポートボルト(スライドピン)
- ブレーキパッド裏面(鳴き止めと防食目的)
- パッドスプリング、ブーツ内
【ピストンを戻す】 清掃とグリスアップが終わったら、出ているピストンを押し戻します。 手で戻せない場合は、古いパッドを挟んでマイナスドライバーなどでこじると簡単に戻ります。専用工具がなくても大丈夫です。




5. 新しいパッドの準備(面取り)
取り付け前にひと手間加えます。
- 面取り: パッドの角をヤスリ(60番程度)で削ります。
- 表面慣らし: ディスクとの接触面も軽くヤスリがけします。
これにより「初期馴染み」が早くなり、ブレーキ鳴きの防止にもなります。 ※純正シムがある場合は、鳴き止めとして装着しましょう。私はタッチ向上のため今回はシム無しで組みましたが、グリスのみでも鳴きは発生していません。

以下はブレーキパッドとセット交換がメーカー指定です。
- ブレーキパッドシム×1個:5XT-25828-00
- ブレーキパッドスプリング×2個:4TT-25919-00
6. 組み付けと確認
- 逆の手順でキャリパーを組み付けます。
- トルクレンチを使用し、規定トルク(31Nm)でボルトを締め付けます。
- 【重要】ブレーキレバーを数回握る: ピストンが押し出され、手応えが出るまで必ずニギニギしてください。これを行わないと、走り出しでブレーキが効きません。

トルクレンチ:ブレーキ周りの整備には必須!

交換後の感想とコスパ比較
デイトナ ゴールデンパッドXのインプレッション
純正パッドから交換してみたところ、劇的な変化というよりは「制動力が全体的に底上げされた」印象です。純正と比較してネガティブな要素はなく、しっかりと止まれる安心感があります。今後の耐久性にも期待しています。
DIY vs お店:工賃の比較
自分で交換するとどれくらいお得なのでしょうか?
【参考:ショップ工賃との比較】 ショップに依頼した場合の工賃目安です。
- 某パーツ量販店: 工賃 2,640円(部品持ち込み時は 5,280円)
お店に頼むと安心ですが、部品持ち込みだと工賃が高くなる傾向があります。作業自体は決して難しくないので、工具さえあれば自分で交換する方が圧倒的にお得です。
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