【セロー250】禁断のAIS改造で「MotoGP級」の強制減圧を。材料費ほぼゼロでクランクケース内を真空にする魔改造レシピ

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AISをクランク内圧コントロールバルブアイキャッチ
目次

はじめに:そのカスタムは、数万円のパーツを超えるか?

「T-REVやNAGバルブ……欲しいけど、3万円は高いなぁ」

エンジンブレーキをマイルドにし、回転をスムーズにする「内圧コントロールバルブ」。セロー乗りなら誰もが一度は憧れるカスタムパーツだ。 だが、ちょっと待ってほしい。 もし、あなたのセローに最初から付いている「ある部品」を少し加工するだけで、それら高価なパーツをも凌駕する**「最強の減圧システム」**が手に入るとしたら?

今回は、純正のAIS(エアインダクションシステム)を禁断の改造により**「強制減圧装置」**へと生まれ変わらせる、DIYメカニックのための魔改造レシピを紹介する。

目指すのは単なるワンウェイバルブを入れる「自然減圧」とは比較にならないMotoGPマシンと同じ、**排気の力でクランクケース内の空気を無理やり引き抜く「強制減圧」**だ。

⚠️ 警告 このカスタムはエンジンの仕様を根本から変える行為です。施工は自己責任で、リスクを理解した「覚悟ある者」だけが進んでください。

このカスタムの仕組みと効果

なぜ「最強」なのか?

通常の内圧コントロールバルブは、ピストンの上下動による圧力変化を利用してガスを逃がす「自然減圧」です。 対して今回紹介する方法は、**マフラーからの排気負圧(吸い出す力)を利用して、クランクケース内のガスを強制的に引き抜く「強制減圧」**です。

これにより、クランクケース内を強力な負圧(バキューム)状態に保つことができます。

【期待できる効果】

  • スムーズな吹け上がり: 抵抗となる空気が消え、ピストンが軽やかに踊る。
  • シルキーなシフト:シフトチェンジ(アップ・ダウン)が滑らかに、ギアが吸い込まれるように入る。
  • エンブレの緩和: スロットル開閉時のギクシャク感(ドンツキ)が消え、扱いやすくなる。
  • 中速走行時の微振動が激減:お尻と腕への負担軽減
  • アイドリングの安定

【リスク】

  • 純正部品を破壊・加工するため、元に戻すには部品購入が必要。
  • 内圧が下がりすぎた場合(-30kPa以下)、オイルシールへの負荷が懸念される(※本手法での長期耐久性は検証中)。

対応車種・年式チェック

本カスタムは、純正AIS(エアカットオフバルブ)の形状に依存するため、対応年式が限られます。

年式対応状況備考
2008~2017年DG17J(FI車)。本記事の対象です。
2005~2008年キャブ車。AIS構造は似ていますが、キャブセッティングへの影響が懸念されます。
2018~2020年×第3次排ガス規制車。該当パーツ(5XT-14803-10)が付いていません。

準備:錬金術の材料と道具

必須: ハンダごて&ハンダ、万力、グラインダー(またはヤスリ)、ポンチ、ハンマー、レンチ、ドライバー

材料:

  • ゴムキャップ(メクラ蓋):インマニ用(内径4.5mm)、エアクリ用(13mm/10mm)
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    手順:AISを「減圧バルブ」へ転生させる

    使用車両:SEROW250 2017年 DG17J

    1. 外装・タンクの取り外し

    まずはエアカットオフバルブにアクセスするため、外装を外します。

    1. シートを外す(ボルト2本)
    2. リヤサイドカバー左右を外す(ネジ1本)
    3. タンクサイドカバー左右を外す(ネジ2本)
    4. フューエルタンクをずらす(固定ボルト3本)

    2. エアカットオフバルブの取り外し

    エンジンのシリンダーヘッド付近にある「エアカットオフバルブ」を取り外します。

    • 固定ネジ1本と、接続されているホース3本を外します。
    • 【重要】
      • ホースA(インマニへ接続):使用しません(廃棄)
      • ホースB(エアクリへ接続):使用しません(廃棄)
      • ホースC(エキゾーストへ接続):再使用します
    エアカットオフバルブ純正接続
    取り外したエアカットオフバルブ
    ※向きはバイク右側面から見た写真

    エアカットオフバルブの位置

    エアカットオフバルブの位置

    3. エアカットオフバルブの分解・改造(最難関)

    ここが作業のハイライトです。本来アフターバーン防止の「急アクセルオフ時に閉じる」バルブのダイヤフラム機構を取り除きホースの接続を変え、「常時開放&ワンウェイバルブ」へと作り変えます。

    改造後はブローバイガスが通ることになりますのでエアカットオフバルブの定期的な清掃が必要になります。

    手順
    インマニ接続部の穴埋め

    ホースAがつながっていたカバーを外し、パイプにある小さな穴をハンダで埋めます。これで負圧による動作をキャンセルします。

    インテークマニホールドからのホースが繋がっている所を外す
    ホースは使用しないのでパイプから取り外す
    ホースを外したカバーに小さな穴が開いているのでハンダで穴を埋める
    ホースを外したパイプの先端に小さな穴が開いているのでハンダで穴を埋める
    外したカバーの穴をハンダで埋めた所
    穴をハンダで埋めた所
    手順
    黒い膜(ダイヤフラム)の切り取り

    黒い膜は、後で「パッキン(シール)」として再利用するため、縁の部分だけ切り取っておきます。

    黒い膜は、後で「パッキン(シール)」として再利用するため、縁の部分だけ切り取っておきます
    黒い膜を再利用できるようにこの段階で切り取っておく
    シールとして再使用する部分を切り取った所
    シールとして再使用する部分を切り取った所
    手順
    カシメの解除と分解

    ボディのカシメ部分をグラインダー等で削り取り、分解します。 万力で固定し、マイナスドライバーでこじると外れます。

    カシメを取る
    カシメをグラインダなどで削り取る
    カシメを取ると写真の部分を外して
    手順
    内部パーツの打ち抜き

    圧入されているホースBがつながっていたカバーを、ピストンバルブダイアフラムごと外します。 プレス機が無い場合は、適当なソケット(33mm程度)を下にあてがい、上からポンチで叩いて打ち抜きます。 ※樹脂と金属のリテーナー、ピストンバルブダイアフラムはすべて撤去します。

    6圧入されているケースをピストンバルブダイアフラムごと外す。圧入機を持っていないのでポンチで打ち抜きました※下には33㎜のソケットをあてています

    ①プレス機を持っていないのでポンチでソケット(33mm)の中へ打ち抜きました。

    ※ボディ下には33㎜のソケットをあてています。

    7ダイヤフラム部を打ち抜いた所

    ②ダイヤフラム部を打ち抜いた所。

    ボディの右に写っているのがピストンバルブダイアフラムと圧入されていたホースBがつながっていたカバーです。

    ※手順4①写真で下側になっていた側です。

    8樹脂のリテーナを外す

    ③樹脂のリテーナを外す。

    9樹脂のリテーナを外した所

    ④樹脂のリテーナを外した所。

    10金属のリテーナーも取り外す

    ⑤続いて金属のリテーナーも取り外した所。

    手順
    組み戻し

    中身を空っぽ(未分解ホースC接続部のリードバルブ機能のみ残す)にしたら、再組み立てです。

    ホースAカバーの組み戻し

    1. 手順②で切り取ったゴムシールを挟む。
    2. 手順①で穴を埋めたカバーを取り付ける。
    2赤枠内の部品は 使用しません
    写真赤枠内の物は使用しません
    14シールを取り付け

    ホースBカバーの組み戻し

    ホースBがつながっていたカバーをかじらないように真っ直ぐ圧入して組み戻します。

    ホースBがつながっていたカバーを圧入して組み込みます
    写真赤枠内のピストンバルブダイアフラムとリテーナーは組付けません
    写真赤枠内のピストンバルブダイアフラムとリテーナーは組付けません

    これで、ただのAISは「高性能・強制減圧バルブ」へと生まれ変わった。

    元々セロー250のブローバイガス引き出し量や耐久性に適した純正リードバルブを使用しているので、最も理想的な強い排気負圧脈動を利用して強制的にブローバイガスを吸い出すことができる内圧コントロールバルブとなります。

    4. 車体への取り付けとホースルーティング

    改造したバルブを車体に戻し、ホースの接続経路(ルーティング)を変更します。

    不要な穴のメクラ処理(重要)

    ホースを抜いた箇所は二次エア吸入の原因になるため、確実に蓋をしてください。

    写真青矢印の3カ所をメクラ処理します
    写真青矢印の3カ所をメクラ処理します
    • インテークマニホールドのニップル:耐熱ゴムキャップで塞ぐ(内径4.5mm推奨)。
      メモ:純正インマニ側ホース内径:4.5mm(外径8.2mm)
    インマニ側ホース内径
    • エアクリーナーボックス(上下2箇所):適当なキャップやゴム栓で塞ぐ。
    • エアクリ上側外径:12.8mm
    • エアクリ下側外径:9.9mm

    キャップを購入したい場合は以下を参考にしてください。

    • インマニ側キャップ
      ヤマハ純正部品(16G-13569-00)
    • マニホールド側キャップクリップ
      ヤマハ純正部品(90467-10039)
    • エアクリーナー上下側キャップ×2
      都市ガス用ガスキャップ 呼び径9.5mm用
    • エアクリーナー側キャップクリップ
      適当な長さのタイラップ

    変更後の接続図

    A.バルブ制御部(元インマニ側) ➡ 何も接続しない(ハンダで穴埋め済み)

    B.バルブ入口(元エアクリ側)シリンダーヘッドブリーザーホースを接続
    本来エアクリーナーボックスの下につながっているホースを抜き、ここへ繋ぎます。

    C.バルブ出口(元エキゾースト側)シリンダーヘッドのエキゾーストポートへ接続(純正通り)
    ※エアカットオフバルブC部内にリードバルブが収まっている。

    エアカットオフバルブ改造後
    エアカットオフバルブを取り付ける
    内圧コントロールバルブにホース2本を接続してを車体に取り付けた所
    コントロールバルブC→エキゾーストポートへ繋がるホースの経路
    内圧コントロールバルブC→エキゾーストポートへ繋がるホースの経路

    効果の検証:「プシューッ!」を聞け

    作業が完了したらエンジンを始動し、2、3回空ぶかしをする。 エンジンを止め、直ちにオイルフィラーキャップを緩める。

    耳を澄ませてほしい。

    「プシューッ!」

    キャップを緩めた瞬間、外気がエンジン内部へ吸い込まれる音が聞こえたはずだ。 これこそが、クランクケース内が強烈な「真空(負圧)」になっていた動かぬ証拠。 おめでとう。改造は成功だ。

    👇実際の音はXポストの動画でご確認ください。

    まとめ:リスクを冒した者だけが得られる快感

    数百円の材料費と、数時間の格闘。 それだけで手に入れたのは、数万円のパーツさえ凌駕するMotoGP級のシステムだ。

    走り出せばすぐに分かる。 エンジンが軽い。振動がない。まるで排気量が変わったかのような滑らかさ。 この「禁断の果実」の味を知ってしまったら、もうノーマルには戻れないだろう。

    さあ、DIYに自信のある勇者たちよ。 その手でセローの封印を解き放て。

    2018~2020年のセローにお乗りの方、「やっぱり加工は怖い…」という方は、ポン付けで効果が得られる市販品(T-REV等)の導入をおすすめします。

    • 「自然減圧」内圧コントロールバルブ:(日産チェックバルブ部品No:47478-03B00、KTM内圧コントロールバルブ部品No:60030090300)
      セロー250のシリンダーヘッドからエアクリーナー間のシリンダーヘッドブリーザーホースに取り付ける。シリンダーヘッドに発生するブローバイ・ガスの僅かな脈動のみを使ってバルブを作動させる自然減圧ではあまり効果を得られない。
    • 「強制減圧」内圧コントロールバルブ:(高価なT-REV、NAGバルブ、クランクデコンプバルブ、レデューサーなど)内圧コントロールバルブとして効果がある。
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    付録:用語説明

    AIS:エアインダクションシステムとはヤマハでの呼称。エキゾーストポートに負圧があるとリードバルブが開きエアクリーナーから新鮮な空気がエキゾーストポートに流れ込むことで未燃焼の排気ガスを燃焼させるシステムです。ちなみにホンダ、カワサキではAIと言われているようです。

    エアカットオフバルブAISの主要部品で今回分解改造する部品。ピストンダイアフラムを通るインテークガス圧により作動する。
    通常は開状態:エアクリーナーからの新鮮な空気をエキゾーストポートへ。
    急激な減速で閉状態:アフターバーンを防止。

    インテーク(インレット)マニホールド:通称インマニ。混合気をシリンダに送るアルミ合金の通路。

    エキゾーストポート:排気バルブシートリングとエキゾーストマニホールドをつなぐシリンダヘッド内の通路。

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    AISをクランク内圧コントロールバルブアイキャッチ

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