セロー250内圧コントロールバルブ高難度だが最安最強の方法

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AISをクランク内圧コントロールバルブアイキャッチ
悩んでいる子ねこ

様々な車種でAISを使った、MotoGPマシンの様なクランクケース内圧コントロールに興味があります。

ねこ先生

2008〜2017年式のセローなら安価に近づけるかもしれませんよ。

使用車両:SEROW250 2017年 DG17J

AISエアインダクションシステムとは未燃焼の排気ガスを燃焼させるシステムのことでヤマハでの呼称です。

この記事の内容を実施するとツイート動画でご確認いただけるようにエンジンフィラーキャップを外して「プシュー」っと空気を吸い込む程クランクケース内が負圧になります。

セロー250この記事の対応年式

年式対応備考
2005~2008年式250ccキャブレーター車
パーツカタログではパーツNo.の枝番が違うが恐らく同様のエアインダクションシステム、しかしキャブ車のため設定に時間がかかりそうでオススメはできない。
2008~2017年式ヒューエルインジェクション車
この記事の対応車
2018~2020年式×「第3次排出ガス規制」適合車
ヤマハパーツNo:5XT-14803-10 エアインダクションシステムアセンブリ¥16,280が付いていない。

特に以下の方はこの記事を読んでからクランク内圧コントロールをご検討ください。

  • 多少時間がかかってもコスパを優先、多少技術が必要でも効果を優先したクランクケース内圧コントロールに興味がある方。
  • セロー250のシリンダーヘッドからエアクリーナー間のシリンダーヘッドブリーザーホースに日産チェックバルブ部品No:47478-03B00、KTM内圧コントロールバルブ部品No:60030090300を内圧コントロールバルブとして取り付けようとしている方。
  • 高価なT-REV、NAGバルブ、クランクデコンプバルブ、レデューサーなどの内圧コントロールバルブを購入して取り付けようとしている方。

セロー250のシリンダーヘッドからエアクリーナー間のシリンダーヘッドブリーザーホースに内圧コントロールバルブを取り付けるだけではシリンダーヘッドに発生するブローバイ・ガスの僅かな脈動のみを使ってバルブを作動させる自然減圧ですのでほどんど効果を得られません。

またT-REV、NAGバルブ、クランクデコンプバルブ、レデューサーなどの各社から販売されている内圧コントロールバルブ専用品は高価です。

この記事で紹介するのはセロー250純正のAISの主要部品となるエアカットオフバルブを改造してホースの接続を変えることでクランク内部コントロールバルブを作りますので、必要な物はハンダとゴムキャップだけと格安で効果の高い方法となりますので紹介させていただきます。

目次

クランクケース内圧コントロールバルブのデメリット

減圧-30kPa以下になると油圧低下、オイルの泡立ち、オイルポンプ故障、オイルシール破損などの弊害も、MotoGPマシンでは-30kPa以下のマシンもあるようです。

この記事のクランクケース内圧が最大どの程度かは未測定ですのでマイナス要因を踏まえて参考にしてください。

純正AISを使用した内圧コントロールバルブの効果が高い理由

AISの経路に改造したエアカットオフバルブを接続しホースの接続を変えることで強い排気負圧脈動を利用して強制的にブローバイガスを吸い出すことにより自然減圧とは比べものにならないほどクランクケース内を強負圧にすることができます。

また減圧経路のリードバルブはセロー250純正のエアカットオフバルブを利用しておりますので耐久性はもちろんブローバイガスの引き出し量は最適化されており、クランクケース内圧を適時理想的な状態に保つことができるはずです。

クランクケース内圧が負圧になることによるメリット

  • エンジンパワーのロスが少なく回転がスムーズに上がる。
  • シフトアップもダウンもスムーズ。
  • エンジンブレーキの効きが程良くなる。
  • スロットルオンオフ時のギクシャクがなくなる。
  • 中速走行時の微振動が減ってお尻と腕への負担が減る。
  • アイドリングが安定する。

用語説明

AIS:エアインダクションシステムとはヤマハでの呼称。エキゾーストポートに負圧があるとリードバルブが開きエアクリーナーから新鮮な空気がエキゾーストポートに流れ込むことで未燃焼の排気ガスを燃焼させるシステムです。ちなみにホンダ、カワサキではAIと言われているようです。

エアカットオフバルブAISの主要部品で今回分解改造する部品。ピストンダイアフラムを通るインテークガス圧により作動する。

通常は開状態:エアクリーナーからの新鮮な空気をエキゾーストポートへ。

急激な減速で閉状態:アフターバーンを防止。

インテーク(インレット)マニホールド:通称インマニ。混合気をシリンダに送るアルミ合金の通路。

エキゾーストポート:排気バルブシートリングとエキゾーストマニホールドをつなぐシリンダヘッド内の通路。

手順

エアカットオフバルブを取外す

エアカットオフバルブの位置

エアカットオフバルブの位置
手順
シートを外す。

固定ネジ2本

手順
リヤサイドカバー左右を外す。

固定ネジ1本+2カ所引き抜き

手順
フューエルタンクサイドカバー左右を外す。

固定ネジ2本

手順
フューエルタンクをずらす。

固定ネジ3本

手順
エアカットオフバルブを外す。

固定ネジ1本 ホース3本

※下写真Aホースは使用しない。写真には写っていないがBホースも使用しない。Cホースは再使用します。

取り外したエアカットオフバルブ

エアカットオフバルブ純正接続
※向きはバイク右側面から見た所

エアカットオフバルブ分解改造

元々アフターバーンを防止するため急激にスロットルバルブを閉じた時に閉状態になるエアカットオフバルブのダイヤフラム機構を取り除きキャンセルしてホースの接続を変え常時開いた状態にします。また改造後はブローバイガスが通ることになりますのでエアカットオフバルブの定期的な清掃が必要になります。

エアカットオフバルブ改造前

エアカットオフバルブ純正接続

A.インテークマニホールドから

B.エアクリーナーから

C.シリンダーヘッドエキゾーストポートへ

エアカットオフバルブ改造後

エアカットオフバルブ改造後

A.何も接続しないハンダで穴埋める

B.シリンダーヘッドブリーザーホースと接続

※エアクリーナーBOXの下側に接続してあるシリンダーヘッドブリーザーホースを外してエアカットオフバルブBへ接続。

C.元の接続同様にシリンダーヘッドエキゾーストポートへ

※エアカットオフバルブC部内にリードバルブが収まっている。

手順
インテークマニホールドからの接続部分を外す。
1インテークマニホールドからのホースが繋がっている所を外す

①ホースは使用しないので取り外す。

1-1外したカバー

②ホースを外したカバーに小さな穴が開いているのでハンダで穴を埋める。

1-2外したカバーの穴をハンダで埋めた所

③穴をハンダで埋めた所。

手順
黒いゴムの部分を切り取る。
2黒いゴムの部分はシールとして使用しますので再使用できるように切り取っておく

黒いゴムの部分はシールとして使用しますので再使用できるようにこの段階で切り取っておく。

3シールとして再使用する部分を切り取った所

シールとして再使用する部分を切り取った所。

手順
カシメを削り取る。
4カシメを取る

カシメをグラインダなどで削り取る。

5カシメを取ると写真の部分を外して

カシメを削り取り写真の部分を外しす。

カシメが取れていれば、ボディを万力で固定してマイナスドライバで軽くこじると外れます。

手順
圧入されているケースをピストンバルブダイアフラムごと外す。
6圧入されているケースをピストンバルブダイアフラムごと外す。圧入機を持っていないのでポンチで打ち抜きました※下には33㎜のソケットをあてています

①プレスを持っていないのでポンチで打ち抜きました。

※ボディ下には33㎜のソケットをあてています。

7ダイヤフラム部を打ち抜いた所

②ダイヤフラム部を打ち抜いた所。

ボディの右に写っているのがピストンバルブダイアフラムと圧入されていたケースです。

※手順4①写真で下側になっていた側です。

8樹脂のリテーナを外す

③樹脂のリテーナを外す。

9樹脂のリテーナを外した所

④樹脂のリテーナを外した所。

10金属のリテーナーも取り外す

⑤続いて金属のリテーナーも取り外した所。

手順
組付け
11圧入して組み込みます

ピストンバルブダイアフラムを取り除いたら組付け作業に移ります。ケースをかじらないように真っ直ぐ圧入ます。

1赤枠内の部品は 使用しません

写真赤枠内のピストンバルブダイアフラムとリテーナーは組付けません。

手順
ボディ反対側も組付け
2赤枠内の部品は 使用しません

写真赤枠内の物は使用しません。

14シールを取り付け

①手順2で切り取ったシールを取付。フチがシールを兼ねている。

②手順1で穴を塞いだカバーを取付けたら車体へ組付けて行く。

手順
エアクリーナ2カ所とインテークマニホールド1カ所にフタを被せる。
蓋をする場所

①エアクリーナー下側のシリンダーヘッドブリーザーホースは外してエアカットオフバルブのB部分へ接続しますのでエアクリーナーから抜いておきます。

②写真青矢印の3カ所にフタを被せます。

  • エアクリ上側外径:12.8mm
  • エアクリ下側外径:9.9mm
インマニ側ホース内径

エアクリ側はシッカリフタが出来れば何でもいいですが、インマニ側は耐熱性のあるキャップが良いです。

  • インマニ側ホース内径:4.5mm
  • インマニ側ホース外径:8.2mm

キャップを購入したい場合は以下を参考にしてください。

  • インマニ側キャップ
    ヤマハ純正部品(16G-13569-00)
  • マニホールド側キャップクリップ
    ヤマハ純正部品(90467-10039)
  • エアクリーナー上下側キャップ×2
    都市ガス用ガスキャップ 呼び径9.5mm用
  • エアクリーナー側キャップクリップ
    適当な長さのタイラップ
手順
車体へエアカットオフバルブを取り付ける。
エアカットオフバルブを取り付ける

エアカットオフバルブにホース2本を接続してを車体に取り付けた所。

※エキゾーストポートへつながる下側のホースは裏に隠れて写真には写っていない。

エアカットオフバルブCから

これで強い排気負圧脈動で強制的にブローバイガスを適時適量吸い出すことで自然減圧とは比べものにならないほどクランクケース内を強負圧にすることができます。

またエアカットオフバルブのC部のリードバルブによって排気脈動に連動してブローバイガスを吸い出すことが出来ます。

手順
クランクケース内が負圧になっているか確認。

ツイート動画をご参照ください。

エンジンをかけてスロットルを2、3回あおった後エンジンを止めてエンジンオイルフィラーキャップを外すと「プシュー」っと空気を吸い込むことを確認できます。

まとめ

ここで紹介するクランク内圧コントロールバルブ製作にかかるコストは、ハンダとゴムキャップぐらいです。

セロー250純正の未燃焼ガスを再燃焼させるAISのエアカットオフバルブを改造してホースの接続を変えることでエンジン内部を負圧にできます。

数回アクセルをあおってオイルフィラーキャップを外すと「プッシュー」っと音をたてて空気を吸い込むほどにクランクケース内も負圧になっていることが確認できるので難易度は高いですが間違えにきずき安く、なによりクランクケース内が負圧になるとピストンが抵抗なく動くので実感できるメリットも多くDIY満足度も上がるのでお勧めです。

では、愛車セローのメンテナンスが完了したら旅やツーリングを楽しんでください。

セロー250をトルクアップするための方法をまとめました➜セロー 250 カスタム トルクアップ大全

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