【完全分解】風が出ない、カビ臭い……「窒息寸前」のタワーファンを救出せよ。アイリスオーヤマ TWF-M6T-W 徹底再生オペレーション

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はじめに:そのタワーファンは「故障」していない。ただ「息」ができないだけだ。

「最強モードにしても、そよ風しか来ない……」

「なんだか最近、カビ臭い風を浴びている気がする……」

アイリスオーヤマの名機『TWF-M6T-W』。スリムで場所を取らないこの相棒も、数年使い込めばそんな不調を訴え始める。

多くの人はここで「寿命か」と諦め、買い替えを検討するだろう。

だが、断言しよう。それは寿命ではない。窒息しているだけだ。

外からはスマートに見えるタワーファンの内部には、構造上、フェルトのように分厚いホコリの層が密かに形成されている。これがシロッコファンの羽を埋め尽くし、空気の通り道を塞いでいるのだ。これを放置すれば、風量低下だけでなく、モーターへの過負荷や、最悪の場合は発火のリスクすらある。

この記事は、6年間我が家の空気を回し続け、今や瀕死の状態にあるTWF-M6T-Wに対する、「完全分解・心肺蘇生手術」の全記録である。

「見えないホコリ」をすべて洗い流し、再びあの力強く清浄な風が吹き抜けた瞬間。あなたはきっと、新品を買った時以上の感動を味わうことになるだろう。


1. オペ前の警告(リスク確認)

⚠ プロからの警告

ここからの作業は、メーカー保証の枠を超える行為だ。以下のリスクを理解した「覚悟ある者」だけが進んでほしい。

  • 感電リスク: 必ず電源プラグを抜くこと。
  • 破損リスク: プラスチックのツメは脆い。力任せにやれば割れる。
  • 復元不能リスク: 手順を間違えれば元に戻せなくなる。

しかし、恐れることはない。元精密機器修理屋である私が、失敗しやすいポイントを先回りしてガイドする。


2. 執刀準備:勝利のための「特殊装備」

ただの掃除ではない。これは手術だ。

ドライバーなどの基本装備に加え、以下の「三種の神器」を用意してほしい。これが成否を分ける。

アイテム用途(プロの視点)備考
除光液(アセトン)**最重要。**メーカーが施した強力な「ネジロック(接着剤)」を溶かす溶解液。これがないとネジ山を潰して詰む。100均のもので十分
シリコングリス組み立て時、軸とプラスチックの摩擦を消す潤滑剤。これを塗らないと「キッキッ」という不快な異音が一生消えない。スプレー不可。チューブ推奨
ネジロック剤高速回転するファンを安全に固定するための命綱。緩みは事故の元だ。ロックタイトなど

👇シリコングリース
組み立て時の必需品。これを塗らないと異音(キッキッ音)の原因になります。プラスチックを傷めない専用品を。

👇LOCTITE(ロックタイト) ねじロック 243
高速回転するファンのネジは緩むと危険です。安全のために必ず塗布しましょう。


3. 実録:完全分解オペレーション

Phase 1. 外装(アーマー)の解除

まずは内部へアクセスするための道を切り開く。

1. 電源プラグを抜く(絶対!)

2. 背面のネジを外す

上部2本、下部4本のネジを外す。

本体背面のリヤカバーネジ上部
本体背面のリヤカバーネジ上部
本体背面のリヤカバーネジ下部
本体背面のリヤカバーネジ下部

3. 土台(ベース)の分離

底面のネジ3本を外し、ツメを解除してベースを割る。内部のスペーサーを無くさないように。

ベースを外す
ベースを外す
ベースを2つに割る
ベースを2つに割る
ベースのスペーサーを外す
ベースのスペーサーを外す

4. リヤカバーの取り外し

ネジが取れていれば、あとはツメで止まっているだけだ。

  • プロのコツ:ここのツメは素手でも外せる。ドライバーを突っ込んで傷だらけにするより、指先で優しく「マッサージ」するように外すのが正解だ。
本体リヤカバーのツメを外す
本体リヤカバーのツメを外す
本体リヤカバーを外す
本体リヤカバーを外す

Phase 2. 最難関:シロッコファンの摘出

現れたファンの姿を見て、あなたは絶句するかもしれない。「こんな空気を吸っていたのか」と。

しかし、ここからがこの手術の山場だ。心してかかれ。

本体リヤカバーを外した所

1. 「ネジロック」を溶かす(最大の罠)

ファンの軸を固定しているネジは、振動で緩まないよう接着剤でガチガチに固められている。普通に回せば、高確率でネジ穴が舐めて終了する。

ここで**「除光液(アセトン)」**の出番だ。

ネジの根元に数滴垂らし、数分待つ。接着剤が化学反応で溶け、驚くほど軽く回るようになる。

アセトンでネジロックを溶かす
アセトンでネジロックを溶かす
下部のモーター軸に固定されているネジを外した所
下部のモーター軸に固定されているネジを外した所

2. ファンの引き抜き

下部の軸固定ネジ、上部の軸受け固定ネジ(2本)を外す。

固定が解かれたファンを、ゆっくりと垂直に引き抜く。

シロッコファン上部軸受けブラケットのネジを外す前
シロッコファン上部軸受けブラケットのネジを外す前
シロッコファン上部軸受けブラケットのネジ外した所
シロッコファン上部軸受けブラケットのネジ外した所

Phase 3. 深部展開:電装・フロントの分解

残りのパーツを外し、完全な「丸洗い」ができる状態にする。

1. 心臓部(モーター)の分離

配線やコンデンサーの固定ネジを外し、モーター周りをフリーにする。

モーターを外した所
モーターを外した所
外した進相コンデンサー(フィルムコンデンサー)
外した進相コンデンサー(フィルムコンデンサー)
配線を外す
配線を外す

2.操作盤(パネル)の取り出し:

ここは知恵の輪だ。フロントカバーを少し「広げる」ようにして、パネルを内側へかわしながら引き抜く。力技は厳禁。

スイッチパネルのネジ(2本)を外す
スイッチパネルのネジ(2本)を外す
左右の側面からフロントカバーをかわした所
左右の側面からフロントカバーをかわした所
フロントのツメを解除した所
フロントのツメを解除した所

3.前面装甲のパージ:

最後のネジ1本を外せば、フロントカバーとルーバー(吹き出し口)がバラバラになる。

これで、全てのパーツがあなたの目の前に並んだ。

ネジ1本を外してフロントカバーを分解する
ネジ1本を外してフロントカバーを分解する
フロントカバーを分解した所
フロントカバーを分解した所

分解した全てのパーツ!

全て分解した所
分解した全てのパーツ

4. 浄化の儀式:徹底洗浄

1. ファン・本体の丸洗い(水洗い)

浴室へ持ち込み、中性洗剤とブラシで、ファンの羽根一枚一枚にこびりついた「闇」を洗い流す。

黒い水が透明になるまで、徹底的にやる。

洗い終わったファンは、新品のように輝いているはずだ。

  • 注意:必ず完全に乾燥させること。生乾きはカビの招待状だ。
ファン清掃前
ファン清掃前
ファンをブラシで清掃
ファンをブラシで清掃
ファンを水で濯いだ所
ファンを水で濯いだ所
ルーバーを水洗い
ルーバーを水洗い

2. 精密部のケア(空洗い)

モーターや基板は水濡れ厳禁だ。

エアダスターでホコリを吹き飛ばし、綿棒で細部を拭き取る。ここでの丁寧さが、後の寿命を決める。

👇エレコム エアダスター
モーターなどの水洗いできない精密部品のホコリ飛ばしに。分解しない普段のお手入れにも使えます。

モーターをエアーダスターで清掃
モーターをエアーダスターで清掃

5. 組み上げ:魂を込める

綺麗にするだけが修理ではない。「より良く」して返すのがプロだ。

1.グリスアップ(静音化)

ファンの回転軸、軸受け、首振り機構にシリコングリスを薄く塗布する。これで摩擦ゼロ、驚くほど静かな回転が手に入る。

シロッコファン上側の軸と軸受けにシリコングリスを塗る
シロッコファン上側の軸と軸受けをグリスアップ、今回はフッ素グリス(高級過ぎ)を塗った

2.ねじロック剤塗布(安全確保)

ファン固定ネジには、必ずネジロック剤を塗ってから締める。安全に対するマナーだ。

3.復元

逆の手順でパーツを戻していく。配線を挟まないよう、慎重に。

首振り部にシリコングリスを塗る
首振り部にシリコングリスを塗る

結果:蘇った風、その「味」を知る

コンセントを差し込み、運命のスイッチオン。

「……(静寂)……」

音は驚くほど静かだ。しかし、手をかざすと、そこには力強い風の束がある。

「強」にしなくても、部屋の空気が大きく動くのが分かる。そして何より、風が**「無臭」**だ。まるで高原の風のような清々しさが、部屋を満たしていく。

「おかえり」

新品同様、いや、愛情(とグリス)が加わった分、新品以上の相棒がここに帰還した。

手間はかかった。だが、この清浄な風を浴びた瞬間、その労力はすべて報われる。

さあ、あなたもドライバーを手に取り、窒息寸前の相棒を救い出してやってほしい。

👇アイリスオーヤマ タワーファン(最新モデル)
分解してみて『これは無理そう…』『内部が錆びていた』という場合は、最新モデルへの買い替えが安全で省エネです。


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