キャンピングカーや車中泊の電源には何が良いの?費用はどのくらい?
比較しづらかった バッテリー容量を「Wh」に統一してコスパ比較 したところ、「ポータブル電源」と「DIYサブバッテリーシステム」のトータルコスト差は半額になりました。
車中泊で使用する電源は、大きく分けるとポータブル電源かサブバッテリーのいづれかになると思います。騒音を気にしなければ発電機もありますが、ここでは選択肢に加えておりません。
さらに、DIYサブバッテリーシステムも、使用するバッテリーは、リチウムイオンバッテリーか鉛バッテリーのいづれかになります。
また、鉛バッテリーも、ディープサイクルバッテリー、セミサイクルバッテリー、自動車始動用バッテリーの種類があります。
電池素材 | 鉛バッテリーの種類 | バッテリー容量単位 | |
---|---|---|---|
ポータブル電源 | リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4) | ー | Wh |
サブバッテリー | リン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4) | ー | Wh |
鉛バッテリーPb | ディープサイクルバッテリー | 20時間率 容量(Ah) | |
セミサイクルバッテリー | 20時間率 容量(Ah) | ||
自動車始動用バッテリー | 5時間率 容量(Ah) |
これらの電源の中から一体どれを選べば良いのか?
- 比較しづらかった バッテリー容量を「Wh」に統一してコスパ比較 しました。
- サブバッテリーシステムだと何が必要になるのか。
- ポータブル電源が1番簡単に使用できそうなことはわかっているが、「ポータブル電源」と「DIYサブバッテリーシステム」のトータルコスト差が半額になった内訳。
をまとめています。キャンピングカーや車中泊用の電源を選ぶ際のガイドにしていただけたら幸いです。
バッテリー容量を「Wh」に統一してコスパ比較
ポータブル電源の容量単位「Wh」と12Vバッテリーの容量単位「Ah」。 「Ah」 でも「JIS規格 の5時間率容量 Ah 」と「EN規格の 20時間率容量 Ah 」があって規格と単位がバラバラでわかりにくいので、Whに変換して1Wh当たりの金額でコスパを比較すると、
サブバッテリーならACDelcoディープサイクルバッテリー M31MF (1200Wh)が1Wh辺り11円と1番コスパが良い。しかし、ポータブル電源は、充電器・バッテリー・インバーターなどが一体になっての価格で、重さが軽いことを考えるとコスパが悪い訳ではない。
12Vバッテリーの容量は規格によって違います。例えば「5時間率容量100Ah」と「20時間率容量100AH」のバッテリーがあったとして比較すると、容量は同じ100Ahでも性能は「5時間率容量100Ah」の方が上です。
ポータブル電源のmAH容量表示はだいたい3.6V辺りで計算されているので、12Vバッテリーの容量AHと単純に比較してはいけない。
例)
Jackery ポータブル電源 240は、カタログスペック容量67200mAh/240Whだが。
公式
Wh=Ah×電圧
1AH=1000mAh
240WH =67.2AH × 3.6V
公式で計算すると、3.6V辺りで計算されている。
12Vで計算すると
240WH / 12V=20000mAh
12Vバッテリーと比較するなら20AH(20000mAh)となります。
(統一Wh) バッテリー名 | 1Wh 当たり の金額(円) | 5時間 率容量(Ah) | 20時間 率容量(Ah) | Amazon価格 ※注) | 重さ (約Kg) | |
---|---|---|---|---|---|---|
Jackery ポータブル電源 | (240)240 | 83 | 20 | – | 19,800 | 3.1 |
(1000)1000 | 140 | 83 | – | 139,800 | 10.6 | |
Li Time リチウムイオン 12V | (1280) 12V100Ah | 38 | 100 | – | 51999 | 11 |
Renogy リチウムイオン 12V | (2560)RBT200 LFP12-BT-JP | 53 | 100 | – | 135,000 | 27.3 |
ACDelco ディープ サイクル バッテリー | (828)M24MF | 14 | 69 | 80 | 11,960 | 20.7 |
(1080)M27MF | 12 | 90 | 105 | 12,632 | 24.3 | |
(1200)M31MF | 11 | 100 | 115 | 13,291 | 26.5 | |
SUPERNATTO セミディープ サイクル バッテリー | (1044)S31MF | 11 | 87 | 100 | 11,980 | ? |
G&Yu セミサイクル バッテリー | (1200)SMF31MS -850-PLUS | 15 | 100 | 115 | 18,150 | 24 |
Panasonic カオス (C7) 自動車始動用 バッテリー | (432)60B19R,L | 18 | 36 | 42 | 7,590 | 9.4 |
(552)80B24R,L | 25 | 46 | 53 | 13,562 | 12.2 | |
(696)100D23R,L | 21 | 58 | 67 | 14,848 | 15.6 | |
(792)125D26R,L | 23 | 66 | 76 | 18,400 | 18.8 | |
(924)145D31R,L | 21 | 77 | 89 | 19,098 | 21.8 |
※5HR⇔20HR 換算係数 1.155としました。
※注)Amazon価格は2020年1月25日調べ
上の表(横スクロール)の赤字の数値は、正確ではない、黒字はカタログスペックです。
本来「JIS D 5301 始動用鉛蓄電池」によるとバッテリーの設計(大きさ、電極の状態など)により換算係数は一定ではなく、正確には換算係数は同一にすべきではないが、こちらの表の数値は、バッテリーによって5時間率容量(カオス)と20時間率容量(ACDelco)仕様の規格が違うため、「5HR⇔20HR 換算係数 1.155」は簡単に比較するための目安として使用してください。
また、上の公式からオレンジ字のWh換算は単純に5時間率容量(Ah)に、12Vを掛けているが、実際は容量が減っていくと電圧が下がっていくので厳密に言うと正確ではない。
ポータブル電源とDIYサブバッテリーシステムの価格差
ポータブル電源とDIYサブバッテリーシステムの価格差 は、約半分です。それでは、細かく見てみましょう!
Jackery ポータブル電源
1000Wh 139,800円
サブバッテリーシステム主要部品合計
1200Wh 71,590円
走行充電器(アイソレーター)+ MPPTチャージコントローラー(MPPTソーラー充電器) 26,000円
ACDelco ディープサイクルバッテリーM31MF1200Wh 13,291円
ヒューズBOX 2,299円
Renogy インバーター( 定格出力1000W、サージ電力2000W ) 20,000円
配線ケーブル等部材 10,000円
※価格はAmazon2020年1月25日調べ
ポータブル電源
充電は、100Vコンセント、自動車のシガーソケット、ソーラーパネルにつなぐだけでいづれの充電方法も簡単です。使う時も家電はコンセントを差すだけ、USB機器もコネクタを差せば使用できるので簡単です。
ただ、12V直流製品もシガーソケットを差すだけで使用できるのですが、口数が少ないのでコネクタ分配器が必要になるかもしれません、また、出力が100W程度の低いポータブル電源もありますので、点火、消火時に消費電力130Wほどになる中華製FFヒーター(5KW)は動きませんので、注意が必要です。
中華FFヒーターが動作しない時はこちらを参考にしてください➜中華FF ヒーター「エラーコード表」とAmazonで手に入る部品
それから、ポータブル電源に使用されている、リチウムイオン電池は充電サイクル500回程度で寿命を迎えますので注意が必要です。
しかし、使用する機器の消費電力にあわせてポータブル電源を選べば、価格は高いですが、車中泊の電源として一番オススメできるシステムです。
100V純正弦波を出力できるポータブル電源を選びましょう!パソコン、液晶テレビ、調光ライトなどは矩形波に対応していない製品があるので正常に動作しなかったり動作しない物もあります。 疑似正弦波もダメ!
ソーラー充電を考えている方はMPPT制御方式を選びましょう!PWM方式よりも充電効率が良いです。
少し割高でも、サブバッテリーよりお手軽なポータブル電源をお探しの方へJackeryサイトのバナーを貼っておきますので、セール、キャンペーンを利用して浮いたお金で車中泊アイテムなどを購入してください。
サブバッテリーシステム
DIYで組むなら、1番おすすめなのがサブバッテリーシステムです。組むのは少し面倒ですが、機能ごとに走行充電器(アイソレーター)、MPPTチャージコントローラー(MPPTソーラー充電器)、サブバッテリー、ヒューズBOX、正弦波インバーターと別れているので、寿命が短いサブバッテリーのみ交換するこもできコスト的にはかなり抑えられます。
また、バッテリー容量が足りなくなったら、バッテリーを追加して並列でつなぐと容量を増強できます。
また、サブバッテリーが過放電しても、自動車のオルタネーターから14Vちょっとは電圧がありますので、走行充電器が電圧を落とさなければ高電圧で過放電したサブバッテリーが復活します。(シガーソケットの電圧も同様に約14Vです)ただ、走行時間が短いと満充電にならないので、バッテリーを長持ちさせるなら別途100V充電器で充電が必要になります。
しかし、サブバッテリーシステムを業者にお願いすると部品や工賃は言い値ですし、メンテナンスもお任せする費用を考えると、大容量のポータブル電源を2台くらい買った方が良いと思います。
走行充電器(アイソレーター)+ MPPTチャージコントローラー(MPPTソーラー充電器)
走行充電器(アイソレーター)とMPPTチャージコントローラー(MPPTソーラー充電器) は、別々で組んでもいいですが、上のイラストの様に一体型の物ですと、配線がすっきりして管理も楽になるのでオススメです。
サブバッテリー
リチウムイオン
鉛バッテリーの1/3程度の重さ、安価で性能の良いリチウムイオンバッテリはサブバッテリーに最適です。
ディープサイクルバッテリー
キャンピングカーのサブバッテリーに適しており、小さい電流を長い時間取り出すことに優れた性能を発揮するよう作られています。
ACDelcoのディープサイクルバッテリーは、ツイン端子、ガス抜き穴付きです。鉛バッテリーは充電時に有毒ガスが発生しますので、車内に設置する場合ガス抜き穴にホースを差してガスを車外に出すことができます。中毒による死亡例もありますので、大変重要な機能です。
セミサイクルバッテリー
SUPERNATTOやG&Yuの セミサイクルバッテリー は、ディープサイクルバッテリーとしても、 自動車始動用バッテリーとしても使用できるバッテリーです。 ツイン端子、ガス抜き穴付きです。
自動車始動用バッテリー
自動車始動時などの瞬間的に大きな電流を取り出すことに優れた性能を発揮するよう作られています。
一般的にはサブバッテリーに、使用されることはありませんが、自動車始動用バッテリーが格安に手に入るなどの場合は、低コストでサブバッテリーシステムを組むことができます。充電時の有毒ガスなど取り扱いに十分注意すれば可能です。
実は、自動車始動用バッテリーを使用して車中泊を実践しておりましたのでいずれ記事にしたいと思っております。
ヒューズBOX
サブバッテリーとFFヒーター・LED照明・換気扇・シャワーなどをつなぐ際ヒューズBOXを介すと、配線のまとまりが良くなります。
中華FFヒーターをDIYで取付た詳細はこちらです➜FFヒーターの取り付け。
インバーター
直流電流を交流電流に変換するもの。
バッテリー12V直流電流を100V交流に変換して、普段、家で使用している家電を使えるようにしてくれます。また、USB(直流5V)コネクタが付いているインバーターがオススメです。
正弦波を出力できるインバーターを選びましょう!パソコン、液晶テレビ、調光ライトなどは矩形波に対応していない製品があるので正常に動作しなかったり、動作すらしない物もあります。
インバーターとサブバッテリーをつなぐケーブルは、消費電力が大きい製品を動作させるときは 細いケーブルだと電源が落ちます。例えば、日動工業の初代ポータブルスポットクーラー「カンゲキくん」YNC-A160は、エアコンONで瞬間的に1000W程度 電力消費するようで、10 sq (スケア)程度のケーブルだとエアコンボタンを押すと電源が落ちます。 22S sq のケーブルでつなぐと インバーターの性能が「定格出力1000W、サージ電力2000Wのインバーター」と「自動車始動用鉛バッテリー容量36Ah」で動作します。ちなみに、FFヒーターはそんなに太くなくても大丈夫です。
【 Renogy インバーター(1000W)】は、22 sq (スケア)のケーブルが付属しております。
sq(スケア)とは
sq とは日本の電線規格で、数字が大きいほど大きな電流を流すことができます。ちなみに、アメリカの電線規格は、AWGで、数字が小さくなるほど大きな電流を流すことができます。
「22 sq ケーブル」=単線だと断面積が22㎟のケーブル 。
例) 市販のケーブルにはないですが、単線で直径2mmの導線を SQ(スケア) で表すと、
1mm×1mm×3.14=3.14 SQ(スケア) となります。
写真のWCTケーブルの仕様は、 導体断面積22 sq 許容電流値 120A(30℃)ですので、サブバッテリーとインバーターをつなぐケーブルに使用すると1440W(12V×120A)までOKです。ちなみに部材はホームセンターで手に入ります。
22 sqケーブルですと1200W(100V×12A)のドライヤーを使用するとギリギリですので、バッテリー容量が減りバッテリーの電圧が下がってくると流れる電流も大きくなることを考えると38sq許容電流値 170A(30℃)のケーブルを使用する必要があります。
電子レンジは700W程度なのでOKです。
補足ですが1200Wのドライヤを使用するには、100Vでは12Aの電流を流せる2sq ケーブルでOKですが、12Vだと100Aの電流を流す必要がありますので、 22 sq 以上の太いケーブルが必要になります。
ケーブルは使用電流のワンサイズ上の太さを選ぶと安心です。
まとめ
ポータブル電源とDIYサブバッテリーシステムの価格差 で紹介した通り。以下の様に費用は約半分でした。DIY サブバッテリーシステム を安全に組むには少し勉強が必要になりますが、半額差は大きいです。
Jackery ポータブル電源
1000Wh 139,800円
サブバッテリーシステム主要部品合計
1200Wh 71,590円
走行充電器(アイソレーター)+ MPPTチャージコントローラー(MPPTソーラー充電器) 26,000円
ACDelco ディープサイクルバッテリーM31MF1200Wh 13,291円
ヒューズBOX 2,299円
Renogy インバーター( 定格出力1000W、サージ電力2000W ) 20,000円
配線ケーブル等部材 10,000円
※価格はAmazon2020年1月25日調べ
また、サブバッテリーを自分で組むなら、バッテリー容量を増減できたり、下のイラストのようにソーラー充電器だけ、また、走行充電器だけ、あるいは必要に応じて機能追加など、できますので状況に応じて自分に合ったシステムを組むことができます。
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